くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ダ・ヴィンチコード」「間宮兄弟」


ダ・ヴィンチコード」
期待の作品であった。というのも原作があまりにも面白かったからだ。ダン・ブラウンという人がこれほど面白い作家だとは気づかなかった。
もちろん、事前に種を読んでしまうことに抵抗はあったのだが、映画と原作は根本的に違うものだという感覚があったからだ。特にこの物語については。

さて、映画の出だしは原作同様、ジャック・ソニエール館長がルーブル美術館の廊下を何者かから逃げるように走るシーンから始まる。時を同じくしてロバート・ラングドン教授が教壇で講演をするシーンが挿入され、この二つが交錯しながら物語の導入部分を形作っていく。

以後、頻繁にこうした物理的な場所の違うそれぞれのシーンや人物の違うそれぞれのシーンを交錯させながら、原作の絡み合った謎のプロットをスクリーンに表現していくのである。合間合間にCGによる主人公たちの推理の具現化を挿入しながら。

果たして原作の面白さを出すことができたのか。先に原作を読んでいたものとしてはなかなかよくできているという感想でした。下手をするとストレートなお話になってしまって、キーワードの謎解きや人物同士の絡み合いがつまらなくなるところなのですが、そこはロン・ハワードの手腕ですね。原作を読んでネタを知っているものとしても楽しめました。成功作品ではないでしょうか。

欲を言うと、もう少し映画としてのリズムがほしかったといえばほしかったですね。オドレイ・トトゥのソフィの存在感が原作ほど強く出ていなかったし、謎解きの場面の「あっ!そうだったのか」的な抑揚がなかったような気もします。ネタを知っていたからなのか、脚本に無理があったのかは不明ですが、その辺が少し物足りない。でも、もう一度見てみたくなるいい映画に出来上がっていたと思います。期待通りの作品でよかった。


さて、つづく「間宮兄弟」は久しぶりの森田芳光作品。しかも、森田監督お特異のコメディタッチの映画である。
新幹線のターミナルを見下ろしている間宮兄弟の弟役の塚地武雄、目からはなぜか涙が・・そこへ自転車でやってきてふざけたように近づいてくる間宮兄弟の兄役の佐々木蔵之介、この二人を俯瞰で捉える冒頭部分から、これはもう森田芳光監督だなぁとうれしくなってくる。

ここから物語りは一気にこの間宮兄弟が自宅に日ごろから思いを寄せる女性をホームパーティに呼ぶシーンをメインに二人の暖かい仲良し兄弟の姿が挿入されていく。
何せ、ほほえましい。男二人の、それもそこそこの年のふたりが深夜にそろってビデオを見たり、毎夜毎夜反省会をしたり、けんかをするでもなく、といってべたべたするでもなく、とにかく仲がいいのは下手をすると妙な映画になりそうなのだが、あっさりと描いているし、主演の二人も好演で、はまり役なのだ。

何のこだわりもなく、この二人の兄弟の姿を丁寧に映し出しているので、ぁぁあこんな気さくに語り合える兄弟がいたらどんなにすばらしいだろうと思い始めてしまいます。
「じゃんけんごっこしようか」と片方がいえば「うんいいよ」と素直に了解してしまうし、「・・・しようか」というと「うんいいよ」と答える関係の楽しそうなこと。お互いがお互いをぜんぜん否定しないのである。趣味も似通い、好みもどことなく・・そんな関係の人が身近に入ることのすばらしさをこの映画は私たちに見せてくれました。

見ているうちに沢尻エリカ姉妹もなんか間宮兄弟に似てくるし、しかも日ごろ見かける脳タリンな女の子たちとは違いしっかりしているし、ちょっとおかしいのはどちらかとうと小学校の教師役の常盤貴子であったり、会社の先輩の妻の戸田菜穂であったりするのだから、なまじ人並みの生活をしているように見える大人のほうが狂っているのかもしれないといわんばかりだ。

森田流の音の使い方もあの「家族ゲーム」時代を彷彿とさせるところもあるし、ところどころに毒のある場面などもさりげなく入れてくるから、これこそ森田芳光とうれしくなってしまいました。

こんな楽しい毎日を送れる間宮兄弟の幸福そうな笑顔は、さらに続く沢尻エリカ姉妹とのなんとも楽しいこれからの生活を予感させるラストシーンで締めくくられて、久しぶりに森田監督万歳の映画でした。