くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ロシアン・ルーレット」「デンデラ」

ロシアンルーレット

ロシアン・ルーレット
2005年に監督し、話題になったオリジナルをハリウッドで監督自らリメイクした作品。
オリジナル版がどの程度のものかわからないが、なかなかどうして、ちょっとおもしろい作品でした。

映画が始まると蜘蛛の模様がはいった電球、そして二人の男がお互いにピストルを額に向けて今にも引き金を引こうとしている。タイトルの「13」がひらりと落ちて物語は3日前にもどる。なかなかの導入部である。

主人公ヴィンスは平凡な電気技師。父親が先日大手術をし一命を取り留めたもののその手術代に自宅を担保に入れるという状況でお金に逼迫している。

そんなある日、仕事で出かけた家の電気工事の最中にその家の主人が麻薬で死んでしまう。たまたま、その主人がなにやら怪しげな封筒を受け取り大金が入る仕事の話らしきことをはなしていたのを聞いたヴィンスはその封筒を盗み、その男になりすましてその場に出かけることにする。

一方警察がこの麻薬で死んだ男をマークしており、怪しげな仕事の正体を突き止めるべく、ヴィンスをつけ始める。

封筒に入っていた携帯に指示されたとおりに行うと、”13”とかかれた一枚の札を手に入れ、それを合い札にとある森の奥の屋敷へ。そこでは円になってお互いにピストルでねらって同時に引き金を引きロシアン・ルーレットのように死んでいく死のゲームが行われており、札を持ったものがプレーヤーとなって命を張り、自分のプレーヤーに金をかけてギャンブルをするという金持ちの道楽の場であった。

そこへやってきたのは刑務所から拉致されプレーヤーにされた男パトリック(ミッキー・ローク)や弟ジャスパー(ジェイソン・ステイサム)が入院している自分の兄をプレーヤーにして参加する男などが集っていた。

ヴィンスは強制されるままにゲームに参加、最後の最後で兄弟で参加していた兄と二人残って決闘という形で向き合い額に拳銃を当てる。そしてヴィンスは生き残るのである。

大金を手にしたヴィンスは駅へ向かうが、そこで警察が彼を逮捕しようとしていることに気がつき金を隠して警察をごまかし、金を直接宅急便で母に送って鞄にはたわいのない買い物をして電車に乗り込む。そこでジャスパーど鉢合わせ。彼に銃で撃たれてジャスパーは鞄を持って逃げるところで映画が終わる。鞄にはなにも入っていないのも気づかずに。

ミッキー・ロークジェイソン・ステイサムなどのビッグキャストを廃しているにも関わらず、かなりの小品に仕上げてしまったのがこの映画の失敗だろうか?おそらく有名なキャストも使わず低予算で仕上げたオリジナル版ならこの程度の作り方でよかっただろうが、ここまでキャストにも凝ったのなら、もう少しそれぞれの人間のドラマも描いて奥の深い作品に仕上げないと意味がない。

結局、それぞれの登場人物の名前を最後まで紹介せずに、ただゲームのごとく無味乾燥なストーリーで仕上げたのは面白味がある脚本になっているのはわかるが、リメイクする際の作り直し、一工夫は必要だった気がします。

しかしながら、導入部、主人公が危険な仕事の内容をたまたま聞き、そこへ踏み込んでいくあたりまでの展開は非常に見事なストーリー構成であり、ゲームが始まってから終わるまでのスリリングな展開もかなりの念の入った演出になっているのはすばらしい。そしてその後のエピローグも見事な作りであることから、おそらくオリジナル版は非常に秀逸な出来映えだったことが想像されます。でも、ちょっとおもしろい映画でした。

デンデラ
過去に二度映画化されそのいずれも名作とされる「楢山節考」のもう一つの物語として書かれた原作を元にした異色作である。監督は今村昌平監督の息子天願大介姨捨山に捨てられた老人たちが実は自活して生きてデンデラという村を作っていたという物語である。

まぁ、期待もしていなかったが、なんともつまらない映画だった。演じているキャストも今一つ迫力に欠ける上に、脚本の構成が何とも貧弱である。さらに物語に今一つ深みがない上に、映像としても取り立てるものがない。まぁ、高齢になった往年の女優たちが雪山の吹雪の中でがんばっているのは評価しないでもないが、寒さ対策のためかころころに着膨れして浅丘ルリ子草笛光子、賠償美津子以外は誰が誰か全くわからないし、登場人物が一人一人ほとんど個性が描けていない。

デンデラを作った創始者メイ(草笛)が村を襲おうとする矢先熊にデンデラを教われ、なんとか追い返したものの、今度は雪崩でメイが命を落とし、そのあと再度熊が襲って、その熊をカユ(浅丘)が村に誘導していくらしい展開がなんとも適当にストーリーが運ばれていく。しかも、熊と対峙した浅丘の「どっちが勝ったのか」とにらんで映画は終わるのだが、ではデンデラはどうしたの?ということなのだ。

原作にはもう少し深みのあるテーマが盛り込まれているのだろうが、映像にする段階で完全に原作に食われてしまったのだろうか?天願大介の個性的な映像演出もみられず、いまだにビックリマンのような目をした浅丘ルリ子も場違いな配役で今一つ盛り上がらないし、参ってしまいました。