くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「カウボーイ&エイリアン」

カウボーイ&エイリアン

内容が内容なので、素直にわいわいと楽しめる作品かとちょっと期待して行ったのですが、思っていたほどにわくわくどきどきのアクション映画に仕上がっていませんでした。ストーリーとカメラ演出にスピード感がないのです。それが、このちょっと楽しめる発想の物語がなんとも物足りないできばえになってしまったのが本当に残念。

突然荒野の真ん中で目覚めた主人公ジェイク。左手にはなにやら不思議な腕輪がついていて、どうにも取り外せない。そこへ三人組が馬に乗ってやってくるが彼らを一瞬でやっつけてしまうジェイクの腕っ節のよさが質に爽快なファーストシーン。
そして、とある宿場町へ。カメラの使い方、軒先に立つガンマンたちをなめるように捕らえていくワーキングはまさに古きよき西部劇であり、思わずにんまり。さらになつかしの西部劇にお決まりのちょっと頭の弱い、しかし親のかさをきている馬鹿息子、さらに保安官に、人懐っこい犬、そして妙に色っぽい酒場の女、などなど懐かしさで涙が出てきそうな導入部に期待が膨らんでくる。

なんとその地で権力をかさに横暴な振る舞いのダラーハイドという男はハリソン・フォードが演じる。この存在もいまひとつ無骨さと豪快さにかける悪役なのがなんとも物足りないのですが、まぁそのあたりは仕方ないと次の展開に期待していくと。突然、夜になってどこからともなく宇宙船らしきものが襲撃、人間をまるで投げ縄でひっ捕まえるように捕まえては空のかなたへ去る。ところが、ここで、ジェイクのもつ腕輪が突然威力を発揮、このUFOを撃破する。しかし、数名が誘拐されたこの街では、妻を誘拐されたドク、息子を誘拐されたダラーハイド、さらに犬、少年、そして最愛の恋人をかつてさらわれた主人公ジェイクに保安官、色っぽい酒場の女エラらがこの宇宙船の住処へと追跡劇を展開するのが物語の本編になる。

しかし、馬の疾走するショットにせよ、途中で出会うかつてのジェイクの部下たちのならず者にせよ、西部劇の定番の登場人物のあくのなさがどうも物語に誇りっぽい粗野なイメージを生み出したりない。この古臭い西部劇と、最新のUFOとの対決というのがこの物語の面白いところなのだが、どっちつかずに吹っ切れない画面がたまらなく心地悪いのである。

そして、たどり着いたのは巨大な宇宙船で、エイリアンは地球の金を採取するためにここへやってきているのだと、地綱見方のエイリアンだったエラの説明で明らかになる。
クライマックスはエイリアンとカウボーイたちの銃撃戦というか、バトル戦になるが、いまひとつ盛り上がらないのはエイリアンの宇宙船の巨大さがいまひとつカウボーイたちに驚愕の表情を与えないインパクトのなさでしょうか。

そして、捕らえられていた人々を解放、エラは自らの命をかけて巨大宇宙船を撃破。めでたしめでたしで、宿場町を去っていくジェイクの姿で映画が終わる。
もちろん、途中、ダラーハイドを恩人として使える部下の死や、男同士の会話で人情味あるダラーハイドの人柄を見せる少年にナイフを与えるくだりなどもあるが、どうもドラマの描き方が弱いために、大して心に残らない。

まぁ、お気楽なB級娯楽活劇として楽しめればそれでよかった。というレベルの映画だったと思います。
日本で時代劇を作れないようにアメリカでも本当の西部劇はいまや演出できる監督もいないし、演じきれる俳優もいないのかもしれませんね。