くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「アメイジング・スパイダーマン」「ラム・ダイアリー」

アメイジングスパイダーマン

アメイジングスパイダーマン
一応シリーズが一段落した前作を完全にリメイクした作品。前シリーズは大好きなサム・ライミ監督作品だったので、それが楽しみな映画でしたが今回は「500日のサマー」のマーク・ウェブに移り、単純に娯楽大作として見に来たという程度の期待感でした。

映像派で個性的なアングルでアクションを見せていくサム・ライミ版と違って今回はドラマ性に重点が置かれている。もちろん、蜘蛛の糸を駆使してビルの間を縦横無尽に飛び回るシーンが見せ場なので、サム・ライミの演出とはまた違ったアングルでカメラが縦横に回転しスパイダーマンの姿に接近した映像で緊張感を生み出していく。

さらに、今回は生物的な変化は超人的な運動神経の創造というのにとどめ、蜘蛛の糸はあくまで機械的に生み出されるという設定になっている。このあたりのテクニカルな変更は、特に映像演出に大差を生み出さないとはいえ、クライマックスでコナーズ博士の化け物に握りつぶされて糸を出せなくなる下りに関わってくるので、こういうスリリングもまた一興でおもしろかった。

ストーリーが前作とほぼ同じであり、しかも怪物のキャラクターデザインが今一つ平凡で全体の出来映えは前作よりも技術的にアップした程度のおもしろさにとどまってしまったのはちょっと残念。しかも、今回はやたらマスクを脱いで素顔をさらすシーンが目に付く。ほとんど謎のヒーローとして大暴れするというこの手のコスチュームものの定番を無視した第一作というのはちょっといただけないなと思う。

「スーパーマン」のリメイクも結局技術こそ上がったがクリストファー・リーブ版ほどのカリスマ性が生み出せなかったのと非常ににている。

ただ、とりあえず、両親の失踪の謎が解明されずに終わったので当然続編が作られるだろうと思う。次回作はストーリーの組立などにもう一工夫ほしいし、3Dにたよらずに映像を見せるというおもしろさも追求してほしいと思う。

とはいえ、退屈な映画ではないし、この手の映画に面倒な分析は必要ないと思うので、大作としてそれなりに楽しめる一本だったからいいとしましょう。早々、最後に久しぶりにサリーフィールドが叔母さん役ででていたのは懐かしい。それにマーティン・シーンが叔父さん役ってどうよというのもまた一興な一本でした。

ラム・ダイアリー
コスチュームプレイをしないジョニー・デップの映画というのも久しぶりのような気がする映画を見ました。

実在のジャーナリスト画家板自伝的小説を原作にしたドラマですが、コメディなのかラブストーリーなのか・・という切り口の見えない作品でした。

笑いを呼ぶシーンもあるし、一昔前のような美しいヒロインも登場してロマンティックなラブストーリーにもなりそうなのですが、それもちょっと今一つ。物語の舞台南米プエルトリコで胡散臭い事業に誘われての詐欺まがいの事件を暴くシリアスな展開かと思えるとそうでもない。どうもどっちつかずで、要するにニューヨークを逃れてやってきた異境の地プエルトリコで、まだまだ様々な確執のあった1960年を舞台にした一人のジャーナリストの体験談というレベルを超えない物語なのです。

映画が始まり真っ赤なグライダーがこちらから向こうへ飛び去るシーンでタイトル。そして窓を開ける主人公ポールの目の前には広大な海。とはいえ二日酔いか遊び疲れかぐったりのポールはとりあえず現地の新聞社へ出向くところから映画が始まる。

そこで知り合った相棒のサーラと怪しげなバーでは現地の男たちに追いかけ回され、シュノーという金髪の美女に出会い一目惚れし、サンダーソンという地元の事業家に誘われてどこかの島のレジャー事業に誘われたりする。そして就職した新聞社もつぶれ、起死回生に闘鶏で金を稼いでいざ発行と思ってもどうしようもなくなっていて、しかたなくサンダーソンの船を盗んでニューヨークへ旅立つ。そんなポールを見送るサーラ、という涙の別れでエンディング。
エンドタイトルでこの主人公のモデルになったジャーナリストのその後が語られる。

結局、まるで一夏の体験的な感動のドラマのような作りなのだがどうもまとまらないし、キーになる物語が見えない為にせっかくの個性的な登場人物も生きてこなかったような形になった。

おもしろいとかおもしろくないとかいう以前の物語の展開という感じでつかみ所がなかったというのが正直な感想です。