くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「西城家の饗宴」「たそがれの東京タワー」

西城家の饗宴

「西城家の響宴」
解説によると晩年評価の高まった鈴木英夫監督、なんと脚本は新藤兼人、美術は木村威夫という作品を見ました。

ここまではちゃめちゃに物語が展開するともうあきれるというより楽しくなってしまいます。しかも脚本が新藤兼人なのだからこれまた驚き。まさに珍品映画でした。

物語は西城家という逗子に住む名家のような家庭。まず、小津安二郎の映画のごとくストーリーが始まる。たわいのないホームドラマです。

戦争未亡人の三条美紀がお嫁にいって中盤が終了。後半は悪い興行師にだまされた三女が作った借財の五万円を返すために勤め先の金を父が横領するというサスペンスへ。演出まで一気にフィルムノワール調へ。さらにその父が発狂したふりをしてどんどんあらぬ方向へ転回していく。

でも実はそれはお芝居ですべて丸く収まり父もその勤め先に再就職してめでたしめでたし。って!そんなのあり?と開いた口がふさがらないが、これもまた当時ならさりげなく受け入れられる映画だったのだろうと時代に納得。

とにかくつっこみどころ満載というよりその場限りでどんどん積み重ねていったようなストーリーを楽しむ大珍品映画でした。


「たそがれの東京タワー」
こういう映画の題名さえも知らないという珍品を一本みました。

60分あまりの中編ですが、どうみても90分くらいで撮りあげて尺があわずに適当に切ったプログラムピクチャーの一本という感じでした。

最初にでてきた子供は誰の?確か待っててって主人公が去ったのに次のシーンはもう関係ないところからはじまるし。なぜか主人公の彼氏になる青年の許嫁はお父さんとローマへ?あれあれ?と思っている間に映画はクライマックス、というかエンディング。無理矢理ハッピーエンド。孤児院出身でブティックに勤める貧しい娘京子が東京タワーで一人の男性直樹に出会う。実はこの男性自動車会社の御曹司で、なぜかふたりはその場で意気投合するも身の内を話せない京子の苦悶の中、やがて直樹の理解を得てハッピーエンドというシンデレラストーリーである。

製作されたのは東京タワーが開業した翌年1959年。出来立ての東京タワーや丸の内、外苑、国会議事堂などのシーンが楽しめる。無名に近い俳優が主演をつとめ、これまたほとんど知らない監督が演出。まさに日本映画黄金期の一本でした。

以上、珍品二本みたのですが、決して傑作とか掘り出し物ではなかったけれど、ぜんぜん見て損をした気がしない。それほどレアに近い映画をスクリーンで見れたことがうれしくて一緒にみた友達と大はしゃぎして帰ってきました。