くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「96時間レクイエム」「アントワーヌとコレット」「夜霧の

kurawan2015-01-15

「96時間レクイエム」
シリーズ三作目にして、とうとう元妻が殺される。しかも、回を追うごとに物語に無理が生じ、今回はとうとう普通のアクション映画になってしまった。要するに家族が危険になるのはブライアン、あんたが悪いんじゃないのと思いたくなるのだ。

映画は主人公ブライアン、愛娘キム、元妻レノーアのほのぼのシーンがだらだら続き、レノーアの現在の夫スチュアートが、ブライアンにしばらく会わないでほしいと頼みにくるまで、なかなかだれる。

そして、レノーアが殺され、現場にいたブライアンが疑われ、逮捕寸前でなにを思ったか、いつものテクニックで警察を振り切って逃げる。あとは、例によって例の展開。

今更斬新さはなく、もたもた走るリーアム・ニーソンをみながら、ストーリーはこれという面白味もないままに流れていって、実はスチュアートが真犯人だったという、こじつけたようなどんでん返しで大団円。

もういいでしょうというシリーズの典型的な成り行きになってしまった。最悪。


「アントワーヌとコレット二十歳の恋)より」
アントワーヌ・ドワネル物の第二作目
二十歳の恋」と言うオムニバス中編作品の中の一本である。
主人公アントワーヌ・ドワネルの思春期の頃の物語が、パリを舞台に描かれる。後に離婚の後結ばれる恋人コレットとのラブストーリーが描かれていく。



夜霧の恋人たち
アントワーヌ・ドワネル物の第三作目。兵役を終え、探偵となって繰り広げる主人公の物語をコミカルな感性で描いていく逸品。個人的には入り込めない作品であるが、この後の「逃げ去る恋」をみていると、そこにでてきたシーンの数々が繰り返されておもしろい。

フランスコメディのタッチと独特の演出と、繰り返すストーリーをジグソーパズルのように並べていく展開が、他に類をみないほどのオリジナリティで、その意味で、トリュフォー作品の代表作でもあるが、どうも私にはこのテンポは受け入れきれず、しんどい。


「家庭」(フランソワ・トリュフォー
アントワーヌ・ドワネルシリーズの第4作目、クリスティーナとの夫婦生活と、そのほころんでいくくだりが描かれていきます。
とにかく、トリュフォーならではのユーモアが満載で、いろんなところに、クスッとした笑いがちりばめられています。

映画は、クリスティーナが買い物をしている場面、店の人が「マドモアゼル」というのを「マダムよ」と、妻になったことを誇らしげに言うシーンから幕を開ける。

やがて、二人に子供ができるが、夫婦それぞれ自分の好みの名前をつけるあたり、アパートの住人が誘拐犯だと噂してみたり、女主人がアントワーヌに迫ってみたりと、登場するキャラクターも楽しい。

勤め先に来ていた日本人女性と懇ろになったアントワーヌが、日本式のしきたりに窮屈さを感じる下りもコミカル。ジャック・タチを駅のホームに登場させたり、日本女性がアントワーヌから去る時の捨て台詞のメモが「勝手にしやがれ」だったり遊び心満載。

結局、夫婦は溝ができたようなできないようなでエンディングに。このあと最終章で、離婚調停になるのだから、本当に楽しいシリーズである。

映像のテンポ、音楽の使い方、カットの切り返しなど、トリュフォーならではの感性で綴られる恋愛コメディの秀作、良かったです。