くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ディストラクション・ベイビーズ」「裸のキッス」

kurawan2016-05-27

ディストラクション・ベイビーズ
真利子哲也監督作品らしい、突っ走る映像表現は、ある意味、評価すべきだ。今時ここまで走れる監督がいないさみしささえ逆に感じてしまう。

柳原優弥扮する主人公の少年は、出会う人間とただ、ケンカし、殴り合う毎日を送っている。一体彼になんの目的があるのか、なんの不満があるかも不明。前半、彼はほとんど喋らず、ただ喧嘩を繰り返すだけだからである。

中盤、菅田将輝扮する一人の少年が近づいてきて、彼と一緒に行動するようになる。と言って、この少年は喧嘩が強いわけでなく、虎の尾をかる狐的な存在である。

ただ、喧嘩をし、それを動画にしてアップする。なぜか彼にも何が不満というものが見えず、ただわめき散らし、喧嘩のきっかけを作る、それを動画に撮ってアップ。途中、小松菜奈扮する女性を車に拉致するが、それも特に意味もない。

結局、何がどうだというものが見えないままに、ラストシーンを迎える。菅田将輝扮する少年は小松菜奈扮する少女の運転で事故で死んでしまい、柳原優弥扮する少年は何処ともなく消えるが、ラストシーンを、警官ともみ合い、撃ち殺してしまってエンディング。

なんなのだ。そう、なんなのだという映画である。しかし、誰もがこのなんなのだに挑戦しない。だから映画がどんどん小さくなる。こういう映画があってもいい。よくわからないがエネルギーがほとばしる映画があってもいいんじゃないかと思う。そんな一本でした。


「裸のキッス」
素直にサスペンス、その面白さを体感する秀作。監督はサミュエル・フラーである。

いきなり一人の女ケリーが男を殴りつけている。何度もなんども殴りつけ、男はその場に倒れる。ケリーはその男から金を奪う。なんと、ケリーは丸坊主である。

2年が経ったクレジットの後、町を飛び出したケリーはグラントヴィルという町にやってくる。その町で彼女はグリフという警察署長に出会い、彼と早速商売をする。ケリーの商売とは売春婦だった。グリフの忠告を聞かず、街の身体不自由児の施設の看護婦となった彼女は、そこでグリフの親友のグラントと知り合い恋に落ちる。

そして結婚をまじかに控えた日、ケリーはウェディングドレスを持ってグラントの屋敷に行くが、そこで彼女は、少女といちゃついているグラントを目撃、激情して殴り殺してしまう。

しかし、動転した彼女はグリフに逮捕されても、あの屋敷で出会った少女の具体的な姿を伝えられず、売春婦という前歴から何も信じてもらえない。元いた店のマネージャーなど、誰もが彼女に不利な証言をする中、とうとう窓から、子供達が遊んでいるのを見て、その中に、あの時の少女を見つける。

そして、その少女の証言で、ケリーの無実が明らかになり、街の人々も、子供たちを救ったと、一転して彼女を褒め称える。そして無実になった彼女は町を去っていく。

昨日の「ショック集団」とは打って変わってのストレートなサスペンスで、見事に見せてくれる。クローズアップを多用した緊迫感溢れる画面演出。登場人物の表情を巧みに描いたカットの数々が見事にストーリーを語っていく。なかなかの映画でした。