くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「植物図鑑 運命の恋、ひろいました」「若葉のころ」「デッ

kurawan2016-06-09

植物図鑑 運命の恋、ひろいました
原作がしっかりしているので、ほんのりと甘酸っぱいラブストーリーとして最後まで見てられるのですが、主人公のさやかが、生きた人間としてしっかり演出できていないせいか、どこか、何もかもが薄っぺらく見えてしまった。でもそれなりに楽しめました。監督は三木康一郎です。

不動産会社で努めるさやかは仕事ではいつも失敗ばかり。家に帰って眠りにつくときに夢を見る。夢の中で、2月のある夜、自宅マンション側の自転車置き場で、一人の青年が倒れているのを発見、声をかけると「僕を拾って欲しいという」

その青年の名前は樹。翌朝、朝ごはんを作ってくれた樹に、思わず同居を勧めるさやか。目がさめると夢が夢でないことがわかるこの導入部が実にいい。とりあえず半年、夏まで一緒に暮らすと答える樹。

樹はやたら野草に詳しくて、次々と、さやかにリ料理をしてくれる。時間があれば、外に出て、野草を集める。料理の説明やら植物の説明やらが次々と出てくるので、この辺り結構楽しい。

半年後の8月、樹が消えないようにと願い始めるさやかの姿が、切ない恋心の燃え上がりに重なっていく。そして8月15日、さやかの誕生日、家に戻ってみると、手作りのバースディケーキ。樹は去っていなかった。と安心したのもつかの間、突然、樹はさやかの前から姿を消す。

必死で彼の姿を探すさやか。バイト先のコンビニに行き、同じくバイトをしていた女性をつけて警察沙汰になったりする。

そして1年後、一冊の本が届く。「植物図鑑」というその本の写真を担当したのが日下部樹だった。その発表会場へ向かうさやか。しかし声をかけず戻ってきたが、樹が後を追ってきていた。そして二人は永遠を誓うことに。

よくある展開といえばそうなのですが、主演の二人の人物描写が弱いのか、あえて、こういうファンタジーとしてしまったのか、存在感が薄い。夢物語のように始まる冒頭ですが、結局現実のハッピーエンドなのだから、その辺りをしっかり描くべきだったかもしれません。丁寧な演出と、まっすぐな構図が実に誠実感あふれる映像ですが、少し物足りなさが見える映画でした。


「若葉のころ」
台湾映画のラブストーリーとして、とっても切ない奇跡の物語は胸にキュンときました。こういうお話大好きなので、少々映画の出来栄えが今ひとつでも惹かれてしまいました。監督はジョウ・グータイという人です。ただ、映像演出がやたらスローモーションが目立つのが気になりました。

ピアノの演奏会場から映画が始まる。一人の女性ワンは演奏会の帰りの階段で、初恋の男性リンを見つけます。話しかけようとするが、彼は女性と親しげに会話して去っていきます。

ある夜、ワンは、交通事故に遭ってしまう。そして意識不明に。彼女にはバイという娘がいます。ワンが初恋を知った17歳と同じ年のバイ。映画はこの二人の同世代の恋物語が交互に語られていきます。

バイは親友ウエンとボーイフレンドイエとの関係に心痛めている。母は離婚し、今は祖母と三人で暮らすバイ。ある日、母のパソコンから、母の未送信メールを発見、それは母が初恋の人リンに送るつもりだったものだった。

ワンが17歳だった時、彼女に近づいてくるリンの存在が、一見煩わしくもあるが、恋の予感を感じていた。リンが手紙を添えてワンに渡したビートルズのLP。それはリンが憧れる美人の女教師から歌詞の翻訳を頼まれたものだった。リンは教師に翻訳を渡す。一方レコードはワンから突き返される。実はそのレコードな中に、ワンが翻訳した手紙も入っていたが、それに気がつかなかった。

ある夜、リンは憧れる女教師が、男と、指導室でSEXしている現場を見て、思わず持っていた刃物で男を刺してしまう。当然、リンは退学になり香港へ行くことになり、ワンとの恋は消えてしまう。

バイは、母が送ろうとしていたメールを通じて母の初恋を知り、母に成り代わってリンとメールのやり取りをする。そして、「会いたい」と連絡するのだ。恋人とも別れ、消沈していたリンの元に届いた初恋の女性からの「会いたい」のメール。戸惑うものの、待ち合わせの駅の出口に行くと、そこにやってきたのは、若き日のワンにそっくりな娘バイだった。そして、ワンの入院する病院へ行き、リンは静かに眠っているワンの手を握る。リンが帰る時、バイはリンに「私のお父さんになる?」と聞かれリンは戸惑う。

リンが帰った後、バイはワンの傍に眠っている。ワンの瞼が動いたかのようなシーンで暗転エンディング。切ない。彼女の意識が戻り、リンとの初恋を成就させるのか?そんな余韻を残すラストシーンである。

ワンとリンの若き日の物語も、美人教師への憧れや、生徒指導で押収されたものを男友達で盗み出して屋上からレコードを飛ばしてしまったり、性への興味、カンニングなど、青春のエピソードが散りばめられ、それに重なるように、バイたちの青春も交錯する。その展開は実にいい感じなのですが、スローモーションを多用しすぎの気がします。効果的に使えば、とってもいい流れになるところが、帰って、興ざめになるところもあるのが本当に残念。

水たまりの水がは弾けたり、雨のショット、スカートが翻る映像など、実に瑞々しさが散りばめられているのはとってもいい感じですが、どれもスローモーションをというのはいかがなものでしょうか?でも好みの話なので、良しとしましょう。好きな映画ですね。


デッドプール
マーベルコミックのスピンオフ作品で、アメリカ映画もネタがつききった感じ。ひたすら下品なセリフと、派手なアクションを繰り出す下品ヒーローもの。今更ですが、目新しいものもない一本でした。監督はティム・ミラー

高速道路上で、タクシーに乗ったデッドプールが喚いているシーンから映画が始まる。小ネタの繰り返しに、これはちょっとオリジナリティがあるかと思いきや、その後は平凡なアクションの連続。

デッドプールがいかにして今のような醜い顔になり、仕方なくコスチュームを着たかが語られる。ガンを治すためにミュータントになる血清を打たれ、その生成過程で化け物のようになったというわけで、その顔を治してくれるはずの組織のリーダーを探すというのが本編。

手や首が飛ぶ派手なアクションに、特に切れもないし、ストーリー展開も普通、本当に、こんな軽いノリだけで、工夫も何もないアクションばかり作っていたらあかんやろと言える一本でした。