くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「火 Hee」「スーサイド・スクワッド」

kurawan2016-09-14

「火Hee」
疲れた。とにかく独りよがり映画の典型で、作っている本人は物語なり、訴えたいテーマなり、描きたい絵なりが見えているのだろうが、全くこちらに伝わってこない。監督は桃井かおり

一人の女が外国だろうか、水飲み場で水を飲んでいる。後ろから大柄な男がやってきて横に弾かれる。カットが変わり、精神科の診察室。一人の女が治療を受けている。対する医師真田は、寡黙に彼女の言葉を聞いている。

終始、この画面が延々と続く。時折、繰り返してエレベーターに乗っている女、携帯の音、出口に向かう姿が挿入される。この意味がよくわからない。

解説によれば、幼い頃に両親を亡くし、イジメにあい、売春をしながら生活をしている女が語る過去の物語を、真田という精神科医が聞いているという流れらしいが、とにかく桃井かおりのクローズアップが延々と続き、時折、真田という医師の顔や、家族のシーンもあるが、ひたすら、桃井のアップである。しかもそのせりふから物語も人生も、心の変化も伝わらないのである。

芸術だ、感性だ時折訴えてきているのであるが、それが桃井の頭の中で止まったまままで、スクリーンから観客に届かないのだ。

結局、独りよがりでエンディングを迎える。どこに行き着くものもない。どうしようも描き用のない映画だった。


スーサイド・スクワッド
DCコミックの悪役たちが集まって世界の危機を救うという話だが、この手の映画にしては平凡だし、やはり話に無理があるのは否めない。監督はデビッド・エアーである。

バットマンたちに倒され投獄された悪役たちの紹介から映画が始まり、彼らを集めて軍隊を組織しようとする。彼らを操るために考えられたのが、首に爆弾を埋めるというよくある手段と魔女に身体を乗っ取られた恋人を持つ軍人。

ところがこの魔女が逃げ出して、最終兵器を作ろうとし始める。根本的にこの魔女を操るための心臓を持つ上層部だが、あっさり危機に陥って、悪役たちを使って乗り切ろうとするが、どうにも一筋縄でいかない連中。というそのキャラクターが今ひとつ面白さに反映していないのが残念。しかも、危機の原因を自分で作って、自分が集めた集団で解決するという展開は無茶です。

ハーレイ・クインというギャルがもっと光るのかと思っていたら、案外普通だったり、日本刀を持った日本人も今ひとつ、全員がそれぞれ、それぞれの個性を打ち消した状態になったので、ただのどんぱちのアクションになった。まぁ、それでいいのかもしれませんね、この手の映画は。

最初から最後まで普通に楽しめたので、これでいいとしましょう。

エピローグで、死んだはずのジョーカーがいとも簡単いハーレイ・クインを助けてしまう。それなら、もっと早く助けてやればよかったやんというオチまでつく。まぁ、これがアメリカンコミックの世界観かもね。