くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由」

kurawan2017-03-29

「モン・ロワ 愛を巡るそれぞれの理由」
感情の起伏だけでこれだけドラマティックに物語をみせたというのは驚嘆に値します。その意味で主演のトニーを演じたエマニュエル・ベルコの熱演に拍手したい一本でした。しかも、彼女の力だけでラストまで飽きさせずに見せたという迫力がすごい。監督はマイウェンです。

スキー場で一人の女性が滑走して家族だろうか父と子供を追い抜いて滑って行く。次のカットで、どうやら彼女は骨折したらしく治療の後リハビリ施設に入る。

その現代のカットからこの女性トニーのこれまでの物語が描かれて行く。

ジョルジオという一人の男性との出会いから恋、そして結婚から出産へと順風に進んだかに見えたが、どこかに入り込む隙間。やがて、ジョルジオに女の影アニエスが見えてくると、次第にトニーとジョルジオの関係は溝が深まって行く。そして離婚、しかし、ジョルジオとトニーは離れては再び結ばれるを繰り返し、その物語が現代と交錯して描かれて行く。

子供のシンドバッドが成長し、10年の月日が流れていた。シンドバッドの成長の説明を学校で受けるトニーとジョルジオ。一通りの説明の後、ジョルジオはあっさりと帰って行く。それを見送るトニーの姿でエンディング。

アニエスの影が見えてからのジョルジオとトニーの関係は、時にドラッグに溺れるジョルジオ、酒に酔って自暴自棄になるトニーの姿で描かれて行くが、トニーの心のうねりが画面からあふれんばかりに見えてくる演出もすごいし、演技も見事なのである。

映像で見せるというより登場人物の心象風景で見せる作品の魅力に引き込まれてしまう映画でした。