くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「彼女がその名を知らない鳥たち」「先生!、、、好きになっ

kurawan2017-10-30

彼女がその名を知らない鳥たち
これは良かった。確かに、ややゆがんだところがないわけでは無いし、大傑作という範疇では無いかもしれないが、相当よくできた作品である。何と言っても、阿部サダヲ蒼井優、さらに松阪桃李、竹野内豊など、普段なら正義の側にあるキャストを正反対に描ききり、しかもそれを見事に演じ切ったのが最高。監督は白石和彌である。

主人公十和子が、煩雑な自分の部屋から時計の苦情を電話しているシーンに映画が始まる。明らかにクレーマーである。

彼女はいかにも汚い身なりの労務者風の佐野という男と同居している。15歳も年上のしかも汚らしい男となぜ一緒にいるのかはわからないままに物語が展開。彼女には八年前に別れた恋人黒崎がいる。

何かにつけ馬鹿にして罵倒する十和子に、ひたすら献身的に尽くす佐野だが、やることなすこと汚らしいおっさんである。

ある時、デパートの時計売り場の主任という水島から、お詫びに家に行きたいと連絡が入る。十和子はどんな人物か売り場でこっそり確認するのだが、なかなかのイケメンなので、自宅訪問を了解する。そして、やってきた水島といい仲になるのだが、嫉妬しているのか、周辺に佐野の姿がチラホラ見え、さらに水島に嫌がらせしている風な空気が漂う。

一方、たまたま黒崎に電話した十和子に、ある日刑事が訪ねてきて、黒崎は五年前から失踪しているのだと言われる。

この辺りで、実は黒崎は殺されていて、犯人が佐野で、だから佐野と十和子は同棲しているのかと思い始めるのですが、物語はどんどん先へ進む。

実は水島も、したたかなやつで、いいように十和子を抱いていただけだとわかり、ある時十和子は水島をナイフで刺すのだが、そこに飛び込んできた佐野が十和子をかばう。そして、十和子は全てを思い出すのだ。

五年前、黒崎を殺したのは十和子で、その死体を埋めたのが佐野で、十和子は全ての記憶が飛んでいた。佐野は、十和子と初めて会った日、そして、十和子に必死で尽くした日々を語り、全ての悪いことは自分の胸の中にしまうからと十和子に告げて、自殺する。

初めて十和子は、たった一人の恋人が佐野だったことを知り映画は終わる。

男の純情話ではあるのだが、完全にどんでん返しのミステリー仕立てで、しかも、それなりの汚れ役を主要キャストが演じているという配役が実にうまい。

また、十和子と水島がホテルで寝ている時に、砂漠の砂がこぼれ落ちたり、黒崎に電話した時に突然、かつて出会った頃に場面が飛んだりと、テクニカルな演出も随所に挿入し、平凡なミステリーに仕上げなかった遊び心もなかなか楽しい一本。その意味で映画が踊りまくっている気がします。おもしろかったです。


「先生!、、、好きになってもいいですか?」
今更目新しくも無い先生と生徒の禁断のラブストーリーですが、芸達者な広瀬すず生田斗真が演じたこと、さらに脇を固めたキャストがしっかりしていたことに加えて、監督の三木孝浩が真摯な演出を施したので、なかなかの作品に仕上がっていました。

主人公の島田響が高校に入学し、やがて二年生になったところから物語が始まる。社会担当の伊藤先生はぶっきらぼうだが、何かにつけ丁寧に生徒に接するために、人気がある。そのさりげない優しさにいつの間にか引かれてしまった響は、好きになってもいいかと問いかける。

彼女の周りで女教師に憧れるませた男子生徒や、これまた露骨に先生にアタックしていくクラスメートの女子高生などが描かれる前半部分はややチャラい仕上がりになっているものの、文化祭で響が伊藤先生にアタックしていく後半部分、広瀬すずが大きく出てくるようになってからが実に良い。

思わず抱きしめキスをしてしまった伊藤先生、そしてその現場をネットに流され
、例によって大問題になり伊藤先生は転任、別れ際に響のことを待つからと去る。そして響の卒業式、晴れて手を繋ぐ二人のシーンでエンディング。

最近のこの手のドラマに有りがちなチャラチャラ感が目立たなかったのが良かった。広瀬すず目当てのみの映画でしたが、マァマァ楽しんだから良いとしよう。


ツイン・ピークス ローラ・パーマー最期の7日間」
デビッド・リンチ監督の狂ったような感覚に酔いしれてしまいました。正直なんのことやらという映画でしたが、固定観念を覆す発想のすごさと映像世界を堪能。

映画は、テレビのカットからカメラが引いて突然破壊され、一人の女性の殺人事件が起こって物語が始まる。そしてやってきたFBIの捜査官が、わけのわからない推理を繰り返しながら、行方が分からなくなり、ローラ・パーマーのストーリーへ展開していく。

後はひたすらドラッグとSEXの映像と、現実とも幻想ともつかない画面が繰り返されるので、もうわけがわからないし、やたら叫ぶローラのシーンがくどくどと描かれていく。

そしてローラが殺されて映画が終わる。後はテレビシリーズに引き継がれるのだろうが、テレビを見ていないので、これを機会に見てみようか。とにかく、デビッド・リンチに圧倒される映画だった。