くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「オール・アイズ・オン・ミー」

kurawan2017-12-29

「オール・アイズ・オン・ミー」
1996年25歳で亡くなったヒップホップ界のスター、トゥパックの半生を映画いた作品。しっかりと丁寧に描いていく映像が実に好感で、全く知識のない私も見ていてその人間ドラマに見入ってしまいました。監督はベニ・ブーム。

映画は、ブラックパンサー党の一員でもあった母親に連れられている少年時代のトゥパックの姿から始まり、やがて手早いジャンプカットで青年になった彼の姿へと物語は進む。

青年となりラッパーとしてソロデビューしたトゥパックはみるみる人気を得てトップに躍り出る。しかし、黒人への差別やヒップホップ界の争いの中に放り込まれていく。

ほんの20年ほど前の話であるが、今尚くすぶるアメリカ社会の暗部が正確に描写され、一方で一人のラッパーが訴え続けた叫びを客観的に描いていく演出が実に心地よくて見応えがあります。

主人公トゥパックも決してヒーローとしては描かず、さりげないところに彼の正義のポリシーを放り込んだ繊細な脚本もなかなかのもので、実話の中に潜むさりげないメッセージがすんなりと心に迫って来ました。いい作品だったのではないかと思います。