くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「きみの鳥はうたえる」「死霊館のシスター」「スカイスクレイパー」

f:id:kurawan:20180925185808j:leftきみの鳥はうたえる

物事の本当を知る若者たちと、うわべしか見えない大人、不思議感覚なのだが、これが今の本当じゃないかと考えてしまう青春ドラマ。いい感じの映画でした。監督は三宅唱

 

函館の書店でバイトする僕が一緒に住んでいる静雄と待ち合わせている場面から映画が始まる。何事も良い加減で何も考えていない風な僕という若者に最初は入り込めないのだが、いつのまにか彼に共感して行く展開が実に良い。

 

無断でバイトを休んだ翌日の夕方、店長と同僚の佐知子とすれ違った僕は佐知子につねられ、もしかしたら戻ってくるんじゃないかと数を数えて待つ。すると佐知子が戻ってきて、あとで一緒に飲もうと約束したが佐知子は来なかった。

 

それでもお互い非難するわけでもなくバイトが終わり、僕は佐知子といい仲になって行く。そんな二人に遠慮しながらもいつのまにか三人で飲みに行く仲間同士になる。

 

何事にも適当な僕とどこかきっちりしている静雄、そして店長との不倫関係も引きずる佐知子、この三人のこれといって大きなうねりもない物語が実にいいのです。

 

自堕落に見えて、どこか人間の温かみを見せる僕を演じた柄本佑の演技が見事だし、それに対峙して、一見ドライなのにどこか湿っぽく母親と接する静雄を演ずる染谷将太も実にいい。

 

そしてそんな二人の間に存在する佐知子の存在も本当に魅力的で、何気ない日常が何気ない中にも素敵に見えてくるから不思議である。

 

ある時、静雄と佐知子の留守に静雄の母がたづねてきて僕と会う。その数日後、静雄たちは帰ってきたが、静雄の母が持病で倒れたのだという。静雄は一見冷静ながらも翌朝母の病院へ旅立つ。静雄の一人ゼリフで、三人で生活した日々の魅力が語られ、カットが変わると僕の一人ゼリフが語られ、佐知子から、静雄と恋人として付き合うことになったと告げられる。

 

そして佐知子は僕をつねって走り去る。冒頭と同じく僕は数を数えて佐知子が戻るのを待つが、たまらなくなり佐知子を追いかけ、実は僕も佐知子が好きなのだと初めて告白、じっと見返す佐知子のなんとも複雑な表情で暗転エンディング。

 

佐知子が望んでいたのは僕からの告白なのか、それでも、いい加減すぎる性格が耐えられず静雄のもとに行こうと迷うのか、このラストは、なんとも言えない感慨深い感動を呼び起こしてくれます。いい映画でした。その一言です。

 

f:id:kurawan:20180925190406j:left死霊館のシスター

第1作がジェームズ・ワン監督で傑作だったので、このシリーズを見るが、今回は普通のホラーという感じで、これという斬新さもなかった。まぁ、これくらいでは怖がれなくなったというのも悲しい話です。監督はコリン・ハーディ。

 

時は1952年、ルーマニア修道院で物語が始まる。二人のシスターが何やら不気味な部屋に向かって行く。手には謎の鍵、そして入っていったシスターが瀕死で出てきて、鍵をもう一人に託し引きずりこまれる。託されたシスターは窓から飛び降りて自殺。翌朝、一人の男フレンチがそれを発見する。

 

バチカンでは事の重大さを鑑み、バーク親父と見習いシスターアイリーンを派遣する。

 

この修道院はかつてキリストの血で悪魔を封じ込めたところだが、戦争で爆撃されその封印が解かれていた。代々のシスターが祈りで抑えてきたが、もう一度封印すべく臨んだのが冒頭のシーン。悪魔は人間に憑依し、外に出ることを望んでいるのだ。

 

バーク親父とアイリーンはフレンチとともに乗り込む。そしてすでに修道女が全員いないにもかかわらず出迎える悪魔のシスター達に敢然と戦いの挑むのが本編。まぁ、普通の宗教バトル戦。

 

そして無事封印をし、三人は脱出するのだが、実は悪魔はフレンチに憑依していて、まんまと外の世界へ出る。二十年後、悪魔付きにあった一人の男フレンチの映像が何かの学会で説明されている場面でエンディング。

 

物語はかなり取ってつけたようなところがあり、無理やりのちの死霊館の出来事につなごうという感じで、ホラーシーンも今時目新しくもない展開、アイリーンが選ばれた経緯も弱いし、バーク神父の人間ドラマもしっかり描写されていない。マンネリですね。まぁ気楽な娯楽映画なので良いとしましょう。

 

f:id:kurawan:20180925190359j:leftスカイスクレイパー

「ダイハード」と「タワーリングインフェルノ」を混ぜ合わせたその場限りの娯楽映画という感じですが、とにかく舞台がやたら高いので、ハラハラドキドキばかりの見せ場を並べ立て、結構退屈しなかった。監督はローソン・マーシャル・サーバー

 

主人公ウィルが誘拐事件の現場に踏み込んだが犯人が爆弾を持っていて爆発、瀕死の重傷で片足を失った場面から映画が始まる。

 

そして、退職して危険管理コンサルタントの会社を立ち上げたウィルは、知人のコネで香港に完成した超高層ビルディングの危険管理の仕事を依頼され家族とともにやってくる。ところが、このビルのオーナージャオは犯罪組織のボス、ボタに金を揺すられ、その対抗策としてその男のマネロンの情報を密かにこのビルに隠していた。

 

ウィルがビルで点検し、別に場所に移動したあと、ボタたちはビルに潜入、火事を起こす計画を立て実行に移す。ところが、それに先立ち、子供の体調不良でこのビルの宿泊施設にウィルの家族が戻っていた。

 

しかも、ビルのセキュリティ操作のできるタブレットをウィルは盗まれ、ボタたちがハッキングして利用したため、ウィルが疑われる羽目に。一方でウィルの家族が危険になり、ウィルは単身、消化システムがダウンした高層ビルに向かって行く。

 

あとはもう、クソ高い場所で、人間離れしたドゥウェイン・ジョンソン扮するウィルの大活躍。ハラハラドキドキのご都合主義シーンの連続で、ボタたちの組織の全貌とか、ビルオーナーのジャオの描写などどこ吹く風のワンマンショー。しかも、生体認証、顔認証と最新テクノロジーのセキュリティなのに、ジャオが大事なものを隠しているのがダイヤル式の旧式金庫には笑ってしまった。

 

結局、無事全て終わって大団円なのですが、なんとも適当な脚本と中身のないストーリーは、あまりにも目の前の利益追求だけの大作というのがまさに今時の中国資本映画という感じでした。