くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「灰とダイヤモンド」「ルイスと不思議の時計」「スモールフット」

灰とダイヤモンド」(デジタルリマスター版)

アンジェイ・ワイダ監督の傑作を再見。やはり素晴らしい。画面の作り、美しさはため息は出るほどに完成されているし、切ないほどの青春ドラマは胸を打ちます。こういう映画は何度見ても背筋が寒くなってしまいますね。

 

映画が始まると、主人公マチェックが、ターゲットの要人を待っている。そして相棒のアンジェイと襲撃に成功して上官に報告するためにホテルのバーへ。ところがそこへやってきたのは本当のターゲットで、マチェックたちは間違えて別人を殺したことがわかる。

 

一方、マチェックはバーで働く女性と恋に落ちる。また、本当のターゲットの隣に部屋を取り、再度襲撃する準備をするが、このまま、生きていきたいという心の揺れが起こり始める。

 

冒頭の襲撃シーンのキリストの像のカットや、女性と二人で廃墟の教会に行く場面のキリスト像のカット、本当のターゲットを撃ち、その体を抱かえるまチェックの背後に上がる花火、そしてゴミの山の中で死ぬラストシーンなど、名場面の数々に引き込まれてしまいます。

 

名作とは何度見ても魅せてくれる。これが映画史に残る一本ですね。

 

ルイスと不思議の時計

面白いはずのファンタジーなのに、どうも引き込まれない。ジャック・ブラックケイト・ブランシェットなど芸達者を配置した割には、脚本が弱くて、乗り切れなかった。監督はイーライ・ロス

 

両親を事故で亡くした主人公の少年ルイスが叔父のジョナサンの元にやってくるところから映画が始まる。なんとジョナサンは二流だが魔法使いで、家の中には不思議な時計が山のようにあり、隣には女魔法使いのツィマーマンが住んでいる。

 

ジョナサンの家には壁の中に破滅に導く不気味な時計があるらしく、その時計をジョナサンは探している。また秘密の戸棚には一冊の本が隠してあり、ジョナサンはルイスに絶対開けるなと言っていた。

 

ルイスは友達と仲良くなるために魔法を信じさせようと家に招き、その友達の仕業で秘密の戸棚を開き、中にある死者を蘇らす魔法の本を発見、試してしまう。それは、アイザックというかつてジョナサンの相棒で危険な魔法を研究していた人物を蘇らせることになる。

 

この展開がどうもうまく処理されていなくて、だらだらと展開して行く。そして蘇って、世界の時間を逆戻りさせるような破滅の時計が動き出し、それを阻止するためにジョナサンたちが向かうが、結局、ルイスが両親からもらっていたボールのようなもので阻止して大団円。

 

サスペンス色も弱いし、エンタメ性も中途半端、主役たちもどうも乗り切っていない。大作のようだが、できが悪いというほかない仕上がりの映画でした。

 

スモールフット

あまりこの手のアニメは見ないのですが、結構面白かったし良かった。物語の展開がしっかりしてるし、テンポもいいので飽きませんでした。監督はカーク・パトリック。

 

ストーンといわれるたくさんの掟を決めて平和に暮らすイエティ達。ヒマラヤの山の頂上に住み、下界とは雲で遮られ、雲の下には何もない空間があると教えられている。

 

主人公のミーゴはある時、不時着してきた飛行機と遭遇、架空のものと言われていたスモールフット=人間と遭遇し、雲の下に興味を持ち始める。そして、未知の世界を探すサークルのメンバーの助けで雲の下に行き、そこで、人間の社会を見つける。

 

知り合った一人の人間パーシーと次第に心が通じ始め、ミーゴは他のイエティにスモールフットの存在を証明するためにパーシーを連れて帰る。しかし、じつは人間が存在することはリーダーは知っていて、大昔、人間に迫害され、いまの山の頂上に暮らすようになったという歴史を知らされる。

 

連れてきたパーシーは空気が薄くて死にかけてきたのでリーダーの娘ミーチーが下界に連れて行くが、そこで、人間達のターゲットにされてしまう。ミーチを助けるためにミーゴ達がやってきて、ミーチーと逃げるが、最後の最後でパーシーの機転でミーゴ達は無事山の上に帰る。

 

そしてエピローグ。全てをあきらかにしたイエティのリーダー達の元、人間達と仲良く暮らすために山を降りてきて映画が終わる。

 

若干、差別メッセージなども見え隠れする気もするが、素直に見ればほのぼのした感動物語でした。絵も綺麗だし、展開もテンポいいし、楽しく見ることができました。