「十年 Ten Years Japan」
石川慶監督の「美しい国」、木下雄介監督の「いたずら同盟」、津野愛監督の「DATA」、早川千絵監督の「PLAN75」、藤村明世監督の「その空気は見えない」の5作品をオムニバスで描く。
どの作品も可もなく不可もなく、それぞれの作家の個性的なメッセージも映像表現もなく、一体なんのためのオムニバスかと思うようなまとまりよう。テレビの「世にも奇妙な物語」の方がよっぽど映像で遊んでいる気がする仕上がりだった。
要するに、映像表現の個性の競作ではなく、またメッセージの競作でもないということなのだろう。もうちょっと楽しめる映画かと思ったが、ちょっと残念でした。
「赤毛のアン 卒業」
前作の続き、高校入学、さらに卒業から教師に道へ進む主人公アンの物語。柔らかい色調で落ち着いた映像で見せる上品な味わいは前作同様。今回はライバルギルバートとの競い合いがやや鼻についた展開でしたがおもしろかった。監督はジョン・ケント・ハリソン。
教師を目指してクィーン学院を受験したアン、下宿先でホームシックになったりと、素直なキャラクターを真正面から捉えていく。
しかし一方、育ててくれたマシュウはよる年波に勝てず、ある時倒れたまま亡くなってしまう。働き手のなくなったグリーンゲイブルズではマリラは家を手放す決心をするが、アンは大学を諦め、家を手伝いながら教師になる決心をして映画が終わる。
本当に素直でわかりやすい物語だし、柔らかい画面が見ている私たちを癒してくれます。派手な作品ではありませんが、良質の一本という印象の映画でした。