くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生」「ギャングース」

ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生

ハリー・ポッターにはじまるこのシリーズは面白くないわけではないが、流石にもう魔法の世界も珍しくなくなったので新鮮味がない。しかも物語がシンプルなのに、関係が複雑になってくると、私の頭ではついていけなくなって、もうちょっと整理が欲しいなという感じの一本でした。監督はデビッド・イェーツ。

 

強大な魔法使いグリンデルバルドが逃げ出すところから物語が始まる。あそこまで拘束していたのに、あっさり逃げられるのは如何なものかと思うが、それほど強いということだが、最後までそのカリスマ性が弱いのがこの作品の最大の欠点かもしれない。

 

ダンブルドアから特命を受けたニュートは仲間の魔法動物達とグリンデルバルドの行方を追ってパリにやってくる。物語は彼らに関わった様々な人物の過去の因縁を横軸にして、クライマックス、グリンデルバルドに賛同する魔法使い達は、彼の仲間となり、対するニュート達はこれからの戦いを予想して映画が終わる。

 

今時珍しくもないCGによる魔法の造形の様々もそれほど目新しくもなく、キャラクターの系図の面白さは、こういう物好きのファンにはたまらない組み立てになっているかもしれないけれど、まぁ、平凡な一本という感じの娯楽映画でした。

 

ギャングース

小品ですがちょっとした映画でした、以前から監督の入江悠は、結構好きな監督なのですが、期待通りの出来栄えになっていたのは良かった。

 

少年院で仲良くなったサイケ、カズキ、タケオが田舎の組事務所を見張っているシーンから映画が始まる。事務所の当番がちょっと外出した隙にその事務所に押し入って金庫を持ち出す。この三人は、犯罪者の上がりの金を奪うタタキという仕事をしていた。

 

持ち帰った金庫を壊してみるが、ほとんど金がない。失敗した三人は次のターゲット、工事現場から工具を盗んでは売りさばいている倉庫を発見、まんまと品物を奪うが、そこで一人の少女ヒカリを拾ってしまい、その子の医療費などで上がりはほとんどなくなる。ヒカリの登場で三人の過去をさりげなく描写する展開は実にうまい。

 

ところがたまたま、最初に奪ったものの中にSDカードを見つけ、振り込め詐欺の組織を見つける。そしてまんまと金を手に入れる。そして味をしめた三人は次々と荒稼ぎし、3,000万貯めて身分証を作ろうと目標を持って動くが、たまたま寄ったカラオケ店で、かつて少年院で虐待されていたチンピラと再会してしまい、アジトを見つけられ金を奪われた挙句、毎月一人五十万の金を持ってくるよう言われる。

 

切れた三人は、彼らの上部組織をタタキのターゲットにしようと考えるが、そこは安達というトップが牛耳る日本でも有数の組織で、とてもチンピラ風情に太刀打ちできそうになかった。

 

しかしたまたま手に入った情報から、安達らが密輸した品物の取引を知り、途中で、安達の金をタタキする計画を練る。そして、まんまと手に入れたかに思ったが、実は安達の番頭の加藤が裏切り、金を自分のものにして海外に出るつもりだった。成田に向かった三人はそこで、加藤に追いついた上安達にも遭遇、あとをつけて、安達が加藤をリンチしている現場に行き、金を奪った上で安達を痛めつける。

 

三人に協力してきた川合が警察を呼ぶ一方で、三人が金を持ってまんまと逃げるが、なんとトランクに積んだ金はトランクが開いて舞い上がっていた。

 

ほとんどの金をなくした三人は牛丼屋で牛丼を食べているシーンからカメラはゆっくり街の外に出て映画が終わる。

 

失敗から始まって、タタキに成功し、さらに前に進んでいく展開が実にバイタリティ満点に展開していく作品で、二転三転するストーリー展開も鮮やか。三人のキャラクター描写も面白いし、さりげない伏線を丁寧になぞる脚本のうまさも評価できます。傑作とまでいかないけれど、心地良い佳作という感じの映画でした。