くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「パッドマン 5億人の女性を救った男」

「パッドマン  5億人の女性を救った男」

実話を基にしたフィクションであり、幾分か作られたものがあるとはいえ、美談であり英雄譚である。しかし、非常に気分の悪い映画だった。2000年ごろのインドを背景にし、あまりに極端な貧富の差、その中で起こった一人の男のチャレンジ。その結果として成功したものの、手の平を返したように歓迎する村人たちの中で、自分から去った妻が駆け寄る。正直、バカバカしくなってしまった。こういう感想を書くと反感があるかもしれないが、そこまで深読みしてしまった。監督はR・バールキ。

 

インドの片田舎、昔ながらの風習で暮らすラクシュミは美しい妻ガヤトリと結婚する。幸せな毎日で、工夫好きのラクシュミは愛する妻のために自転車の荷台を直してみたりささやかな発明をする。そんなある時、女性が生理の時に汚れた不潔な布を使い、その上五日間部屋の外に追いやられる現実を知る。薬局に行き妻のためにナプキンを買うが、驚くほどに高い。なんとかまがい物を作れないかと作ってみるが、男が女の穢れ物を作ることには周囲から異常なくらいの反発を買ってしまう。

 

妻も、そんな夫を受け入れられず、恥だと遠ざけようとする。それでも必死で改良しようとし、大学の教授の家に手伝いに入り、ワタではなくて別の原料が必要とわかる。そして大会社がオートメーションで作る工程を手作りの機械で再現し製品を完成させる。

 

そんな時、都会から来ていたパリーという女性の難儀を、完成したばかりのナプキンで救ったことから彼女の知恵でナプキンを個別販売する流れとなる。一方、製造に女性が関わるようになり、女性の雇用も創出する結果となる。

 

やがて、話題になった彼は、インドの発明大会に出品、そこで優勝。それでも扱う品物ゆえにガヤトリも村の人々も彼を遠ざける。しかし、ナプキンは売れ続け、やがて国連に招聘され、そこで演説。そして世界に配信された上、インドの勲章を授与されることになる。

 

いつのまにかパリーはラクシュミを愛するようになっていて、二人でこれからもと考えていたところへガヤトリから電話が入る。ラクシュミは、ガヤトリの元に戻ることを決心し村に戻ると、村人たちは手のひらを返したように彼を歓迎。ラクシュミはガヤトリとともに勲章を授与される場所に向かって映画が終わる。

 

確かに不屈の精神で頑張った男の美談であるが、村人たちの冷笑が手のひらを返したのを普通に受け入れる精神、一旦は夫を信じなかった妻に戻る神経が受け入れられなかった。パリーとともにさらにインドの未来に貢献すべきであるが、結局、小さい世界の戻るヒューマニズムは甘すぎると思う。まぁ、そこまでひねくれなくてもと思うが、そんな感想を持ってしまった。私だけでしょうか。