くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「招かれざる客」「空海 KUーKAI 美しき王妃の謎」「blank13

kurawan2018-02-26

「招かれざる客」
さすがに素晴らしい。これほど脚本が仕上がっているとなんともいえないほど感心してしまいます。人物の描き分けが見事であるし、それを演じた名優たちの演技も抜群で、単純な人種問題を絡めた人間ドラマと格が違います。監督はスタンリー・クレイマー

飛行場に飛行機が着陸してきて、一組のカップル、ジョンとジョーイが降り立ってくる。ジョンは黒人でジョーイが白人。まだまだ黒人差別が当然であった時代を背景にしたこの導入部から、ひたすら舞い上がっているジョーイに対し、冷静そのもののジョンという存在。

ジョーイは両親にジョンを会わせる。そして、今夜にもジョーイもジョンを追ってスイスに飛び結婚するという。

画廊を経営しているジョーイの母クリスティーナはすぐに理解をしめすが、人種差別を訴えかけてきた新聞社の社長の父のマットは戸惑いながらも大反対する。ジョーイの家の中にさりげなく飾られた名画の数々がまず素晴らしい。

時間期限を切り、ひたすらロマンスだけに燃え上がるジョーイと冷静ながら強い意志があるジョン、そしてジョーイの両親の描き方もくっきりとストーリーを牽引。そして、どう唸ることかといさすペンスがさりげなく盛り上げて行く展開もうまい。

クライマックス、ジョンの両親もやってきて、話は再度盛り上がるが、最後はマットの名演説でまとまる。

脇に配置したマットの家のメイドの黒人のキャラクターもうまいし、さりげない小さなシーンが物語にどんどん深みを加えてくる。

舞台劇の映画化だと思うが、ここまで書き込まれた脚本はまさに芸術である。名作とはこういう映画をいうという典型的な作品でした。


空海 KUーKAI 美しき王妃の謎」
若き空海が中国に渡り、楊貴妃の死の謎に迫る歴史スペクタクルで、全編派手なCG映像で彩られながらの王朝絵巻であるが、ほとんどがセリフによる解説が延々と続く構成は、一体なんのためのスペクタクルという感じでした。監督はチェン・カイコー

若き空海真言密教を学ぶために中国にやってくるが、そこで不思議な魔物のような猫と遭遇。天才詩人白楽天に導かれるままに、やがて、唐を繁栄に導き、さらに没落のきっかけを作ったと言われる楊貴妃の死の謎に迫っていく。

果たして、史実のように楊貴妃は死んだのか?その謎に迫り、やがて謎の猫の真実が明らかになっていくのですが、ただただ、セリフによるトーリーの説明が続くのがしんどい。

CG映像もそれほど奇抜さも工夫も見られないし、今更という映像で仰々しい物語を語られてもなあという感じの映画でした


blank13
斎藤工の長編監督デビュー作というので見に行ってみたが、だからなんなのだという仕上がりの一本。実話の映画化と言うのだが、今時よくある手法のストーリー構成の面白さがほとんど活かせていなかった。駄作とは言わないけれど、まぁ、この程度かと言う映画。

主人公松本コージの父の葬儀のシーンから映画が始まる。隣のお寺では大きな葬儀が行われていて、間違ってこちらにくると言うノリのシーンなのだが、これも意味が今ひとつ。

そして、主人公松本コージの少年時代なども語られるが、誰が主人公なのかよくわからないままに進んでいく。一体父の話なのか、少年時代の兄弟の話なのか。

坊さんがお経が終わった時点で、参列者が一人ずつ挨拶をしてくださいとい依頼があり、個性的な参列者が次々と挨拶を始める。このシーンの面白さも売りなのだろうが、ここも意味不明。

結局、映画がラストに流れて行かない中途半端さが、どうにもならなかった。最後は火葬されてエンディング。なにをしたかった?