くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「アンロック 陰謀のコード」「彼の見つめる先に」

kurawan2018-04-20

「アンロック 陰謀のコード」
台本が良くない。主人公が颯爽と活躍するかと思えばすぐピンチになる。その展開をワンパターンで繰り返すので、だんだんヒロインに見えなくなってくるし、殺すべきでないキャラクターをあっけなく殺してしまうので物語が上滑りになってしまう。そのうえ、二転三転する裏切り行為のどんでん返しがしつこいために繁雑にしか見えない。こういうのを見るとフィルムノワールの作品がいかに優れているのがわかります。監督はマイケル・アプテッド

元CIAの尋問官であったが、過去に失敗をし、多数の犠牲者を出したために、今は穏やかに暮らしていた。ところが、ある時バイオテロ事件の容疑者が逮捕され、その計画を聞き出すために備えていた尋問官が殺され、急遽、アリスが召喚される。

そして見事に、聞き出すのだが、たまたま受けた同僚からの電話で、今尋問しているのが全て偽物だと判明、慌てて脱出する。恋して物語が幕を開ける。

CIA内部に裏切り者がいると判断し、調査を進めるが、ふとしたところですぐにピンチになり、ジャックという元海兵隊員に助けられたり、元上司で頼りになるエリックもすぐに殺され、うまく進むかと思うとすぐピンチを繰り返し、物語が見えてこない。

しかも終盤、なんとか一段落かと思えたが、実はエリックも裏切り者で、さらにバイオテロのために仕掛けられたウイルスカプセルのシチュエーションも実にしょぼかったりと、本当にいいところがない。

とはいえ、勧善懲悪の物語なので、最後は無事敵を倒し、アリスは尋問官に不復帰してエンディング。

なんともくどいほどにできの良くない脚本がとにかく残念。大物をキャストに配置しているにもかかわらず、あまり効果を生んでいないし、とにかくテンポが良くない。こういう映画もまだあるのかと思うと残念。


「彼の見つめる先に」
普通の作品だった気がします。甘酸っぱい青春映画という評価もありだと思いますが、昨今の、男同士の友情はゲイになり女同士の友情はレズになるのをどこか美しいもののように描く安易さはそろそろやめるべきじゃないかと思う。監督はダニエル・ヒベイロ。

主人公レオと幼馴染のジョヴァンナがプールサイドで寝転んでいるシーンから映画が始まる。レオは生まれながらに目が見えないので、いつもジョヴァンナがそばについていた。またレオの両親も何かにつけレオの行動に干渉してくる。

そんなある時、ガブリエルという少年が転校してくる。そして、すぐにレオらと仲良くなり、いつも行動をともにするようになる。ガブリエルも何かにつけレオを手伝い、そのうち、ささやかな嫉妬がジョヴァンナに芽生え始めるのと同時に、レオはガブリエルに友情以上のものを感じ始める。

流石に、普通の展開になってしまって今更真新しさも、斬新さもない流れで、三人の青春ストーリーが描かれて行く。何かにつけ、構いすぎる両親に反発し、交換留学をしようと考えるレオの行動も、尻切れで、今ひとつストーリーに影響を与えていかないし、クライマックスは完全にレオとガブリエルはそういう仲になり、二人を認めたジョヴァンナと三人で下校する構図で終わる。

これを瑞々しい青春ドラマだと評価するには、ちょっと安易すぎるんじゃないかと思う。もっと微妙な表現に工夫をしていかないと、何もかもこういう結果論でいい映画という感覚になる気がします。