くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「危険な場所で」「拳銃魔」

kurawan2018-04-28

「危険な場所で」
え?これで終わりか?というストーリー展開と、あまりに雑な脚本にあっけにとられる映画ですが、この荒削りが、時代を感じさせてくれて面白かった。監督はニコラス・レイ

腕はいいが少々乱暴な捜査で上からも睨まれている主人公の刑事ジムが、次々と起こる事件を相棒たちと回っている場面から映画が始まる。

ある時、片田舎で少女の殺人事件が起こり、その応援に派遣されるのだが、閉鎖的な村で、なかなか入り込めない。犯人を見たという声に被害者の父親とジムが追いかけていく。そして彼方に明かりのついた家を見つけ、入っていくと盲目の女性マリーがいた。

で、いきなり真犯人はこのマリーの弟ダニーであるらしいとわかってしまうし、マリーの希望で、村人たちに殺されないようにジムに懇願するし、それでも、父親とジムはダニーを崖まで追い詰め、とうとう落ちて死んでしまう。

しかもダニーはまだ幼い少年だったでの父親も無下においかけたことを反省するし、で、結局、動機とかもわからないままに、父親は犯人を抱きかかえてマリーのもとに運ぶ。そして、打ち解けたジムを車まで送る。

え?それでいいのという展開である。そして、ジムはマリーに心が動き、一旦街に戻るがまたマリーのところにやってきて、手を取り合ってエンディング。

開いた口が塞がらない映画だった。なんだったの?である。音楽がバーナード・ハーマンなので「サイコ」を思わせるムードが気になって仕方なかった。


拳銃魔
映画としての絵作りもしっかりしているし、ストーリー展開も構成もきっちり作られている極めてクオリティの高い作品でした。監督はジョセフ・H・ルイス、脚本はダルトン・トランボ。

雨の街角、一人の少年バートが現れる。そして銃器店のウィンドウをを破って拳銃を盗むが、滑って転び、男に見つかる。このオープニングがなんとも技巧的ながら面白い。

バートは判事の前に立つ。姉や幼馴染のデイブとクエイドらが、彼は生き物を撃つことはできないが、銃の扱いが非常に優れていると証言、バートの幼い日々が描かれる。そして彼は田舎の学校、つまり少年院に送られる。

やがて時が経ち、バートら三人は青年になる。ある時、街にやってきたアニーという銃の名人に挑戦して勝ったバートは、アニーの興行に参加するようになる。やがてアニーとバートは恋仲になるがそれをやっかんだ興行主は二人をクビにする。

愛し合ってるとはいえ、贅沢が身についたアニーはバートをそそのかし、二人で強盗を繰り返すようになる。しかし、そんな生活に飽き飽きしたバートは最後の大仕事をして逃げようと提案、会社の給料を強奪して二人で逃げるが、今度は追っ手が迫ってくる。

しかし何とか巻いた二人だが、ちょっとしたミスから二人の居場所がばれ、ホテルに金を残したまま逃走することになる。そしてバートの姉の家に逃げ込んだのだが、ここに隠れていると推理した、幼馴染で今は保安官と新聞記者になっているデイブとクエイドが説得に来る。しかし、結局バートらは逃亡し、幼い頃によく遊んだ沼地で一夜を明かす。

夜が明ける。あたりは霧が立ち込めている。デイブたちの声が迫って来る。恐怖にパニックになったアニーはデイブたちを撃とうとピストルを向ける。それを阻止するためにバートは人を初めて撃つ。それもアニーを。その銃声に周りの警官はバートを撃つ。こうして映画が終わる。

ある意味完成されたフィルムノワールである。人の配置の構図やパンフォーカスを多用した映像、ちょっとしつこいが、逃げる場面で必ず何かを落としたりこけたりする演出、車の逃亡シーンのスリリングな画面作りなど、丁寧に仕上げていった絵作りとストーリーテリングが本当に際立った作品でした。