くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「 ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷」「

kurawan2018-07-04

ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷
一昔前の正統派ゴシックホラーという感じの作品で、どこか懐かしい空気感が漂う一本、ただ、全体の流れはどこか退屈だった。出てくるキャラクターがわかるようでわからない中途半端な描写ゆえなのかもしれません。監督はマイケル&ピーター・スピエリッグ

時は1906年カルフォルニアのウィンチェスター邸、ウィンチェスター銃で財を成した一族の家である。1人の女性、マリオンが息子ヘンリーが夢遊病のように歩く姿を追うところから映画が始まる。ウィンチェスター社の弁護士は、著名な精神科医エリックにサラ・ウィンチェスターの精神鑑定を依頼する。

サラは、かつてウィンチェスター銃で命を落とした霊を鎮めるために自宅をひたすら改造増築し、様々な部屋を13本の釘で閉鎖し霊を鎮める仕事を延々続けていた。その異常な行為に不安を持った弁護士が、彼女が筆頭株主としてふさわしいか調べて欲しいと依頼したのである。

遠方ではあるが、その報酬が魅力でウィンチェスター邸にやって着たエリックは、サラの鑑定を開始するが、初日から亡霊のようなものを見る。

何十という部屋があちこちに作られたウィンチェスター邸は、思わぬところにドアがあり、様々な部屋が閉鎖され、不気味な様相であった。ゴシック調の美しい格調高いムードの調度品と落ち着いたライティングの映像が実に美しいのですが、いっぽう、物語のキーになってくる人物の描写が弱く、その背景を捉えるより、オーソドックスなショッキングシーンが次々出てくるので、話にのめり込めない。

最初からさりげなく登場していたベンという男が、実はラストで、一番の悪霊だったという伏線は面白いのですが、このネタを活かしきれていない。

結局、ウィンチェスター家に一番恨みを持つベンという男の霊が最後にサラに迫ってきて、それを迎え撃つエリックたちとの戦いで、エリックがかつて妻に誤射され、瀕死の重傷を負った時の弾でベンを撃って大団円。

エリックと妻のかつての物語は終盤小さく語られるのだが、サラの姪のマリオンとその息子ヘンリーの立ち位置がよくわからない。ヘンリーがベンに取り憑かれて、奇妙な行動をするくだりの面白さも弱い。

そもそも、ヘレン・ミレン扮する、最大の謎の女サラの存在感があまりに薄いので映画に深みが出ていないのではと思います。

オーソドックスなホラー演出は懐かしさとドキドキ感を生み出しているのに、どこかまとまりきらないのが本当に残念。所詮この監督の力量は、B級ホラーレベルなのかもしれません。


イカリエ XB-1」
共産主義下のチェコで作られた初のSF映画で、特撮は流石に甘いものだが、しっかりとしたカメラアングルで捕らえられた映像と、緻密な演出が秀逸で、雑さが全くないハードSF映画でした。見応え十分と言えます。原作はスタニスワフ・レム、監督はインドゥジヒ・ポラーク

地球を離れ宇宙で新生命体を発見するべく航行する宇宙船イカリエ XB-1の船内の場面から始まる。

途中に20世紀の漂流する宇宙船に遭遇、探査メンバーを派遣するが、なかの乗組員はなぜか全員ん死んでいた。間も無くして核兵器が爆発し、探査メンバーもろとも消えてしまう。

しかし、イカリエはさらに宇宙をすすむ。船外で作業をする必要から2人が外に出たが、ダークスターに遭遇、放射線にさらされてしまう。そして間も無くして乗組員は極端な疲労と眠気で眠ってしまう。

しかし、60時間は眠るだろうと思われたが25時間で目覚めた。どうやら放射線を遮ってくれた何者かがイカリエを追尾しているのがわかる。それは知的生命体だった。

そしてイカリエは新しいホワイト惑星に到達して映画が唐突に終わる。

非常にシリアスな内容で、派手なシーンはほとんどないが、稚拙なセットにもかかわらず、カメラアングルの工夫、カット編集の巧みさでしっかりと見せる映像は見事である。

2001年宇宙の旅」などに影響を与えたなどといっているが、流石のそれは絶対ない。しかし、船内の閉鎖空間で人間は徐々に追い詰められていく緊迫感など、ドラマとしても優れているし、なかなか見ごたえのある映画でした。


「狐と狸」
豪華キャストで送る娯楽作品という感じの一本で、騙し騙されが日本的な泥臭い展開で繰り返される流れはややしつこい映画でした。監督は千葉泰樹

言葉巧みに反物や洋服などを農村などに売り歩く行商の主人公の元に、大学を出て職にありつけない甥がたづねてくるところから映画が始まる。

あとは主人公とその仲間が織りなす人情ドラマを絡ませ、さりげないお色気を入れての、泥臭い騙し合いの物語が続く。

嘘八百で品物を売り歩くことに疑問を持ちながらも主人公についていく甥の成長を通して、やがて、一人前になった甥が主人公たちとさらなる勝負にたび立つところでエンディング。

たわいのない娯楽映画という感じで、映画作品として秀でた何かがあるわけではないが、こういう映画に笑いながら楽しむ観客の姿が手に取るように感じられるほのぼのした映画でした。