くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「アメリカン・アサシン」「正しい日 間違えた日」

kurawan2018-07-12

アメリカン・アサシン
ノンストップで繰り広げられるアクションシーンの連続に飽きさせないのだが、すとリーの展開に工夫のないのはどうも私の好みではないです。原作がありとはいえ、ちょっと雑なところも見え隠れするリアリティのなさが物足りません。監督はマイケル・クエスタ

主人公ミッチーが恋人とビーチで戯れている。ふと飲み物を取りにミッチが離れた時に、アラブ人のテロ集団が銃を乱射、ビーチの人々を撃ち殺し始める。慌てて戻ったミッチの前で恋人も殺される。それから約一年半、なぜかミッチはものすごい姿で傭兵のように戦闘能力を備え、テロ集団のボスを倒す執念に燃えていた。

いくら執念とはいえ、素人がこの短期間でここまで戦闘能力を持てるのかという彼の過去の人生には説明がないし、なぜかCIAが彼を監視していて、彼はテロ集団のボスに近づいたところでCIAが突入、ボスを撃ち殺しミッチを救出拉致する。

ここもあまりにリアリティがない。なぜCIAも近づけなかったボスにいとも簡単に接触できたのかの背景が見えない。

そして、ミッチはCIAのハーリーという教官のもとで訓練を受けるようになるのだが、今更いらんのと違うのかという感じである。

折しもロシアでプルトニウムが盗まれ、どうやらイラクの権力者がアメリカに対するために核爆弾を作ろうとしているらしく、その阻止の任務につく。あとは敵と味方のあれよあれよというアクションの連続。そしていつの間にか核爆弾は完成していて、タイマーセットされた爆弾を奪取したミッチーはボートで海へ。

どうやら爆弾のターゲットはアメリカの第六艦隊であるらしく、すんでのところで水中で爆破、その爆風で艦隊が波に飲まれそうになるスペクタクルシーンで大団円。

その後、当初各
核爆破を計画した将軍が、爆発をアメリカのせいにして大統領にならんとするところへミッチーが側に立っているシーンでエンディング。

なぜ核爆弾があんなに簡単に出来上がってるのかとか、やたらと個人的な恨みつらみで犯人たちが暴れたりと、いたるところに雑なリアリティの弱さが露見する映画ですが、まぁ、気楽に見れば面白いアクションでした。


正しい日 間違えた日
いつも思うが、ホン・サンス監督の作品は、どこか変で、でもどこか癒されて、どこか切ないエンディングになります。今回もそんなファンタジーのような日常のさりげないラブストーリーが素敵でした。

名前の売れた映画監督ハム・チョンスがホテルで目覚め、窓から見下ろすと一人の可愛いヒジョンがいる。気をつけないと、彼女は可愛いと呟きながら下に降りて、ヒジョンと二言三言会話をする。

物語はこのあと二通りの、微妙に違ったストーリーを描く。

チョンスが、ある名所の建物の外で立っている。建物の門をくぐる一人の女性ヒジョンが画面に映される。カットが変わると建物の中を見るチョンス。柱にもたれて目を瞑って開けるとそこにヒジョンがバナナ牛乳を飲んでいる。話しかけるチョンス。

二人はコーヒーショップに行き、話した後ヒジョンのアトリエへ。そこでチョンスと話した後、寿司屋でお酒を飲む。差し障りのない展開で仲が良くなり、ヒジョンは先輩のカフェに行くのを忘れていたと、チョンスも連れてカフェへ。そこでも差し障りのない展開から、ヒジョンと別れて前半が終わる。

後半は、同様に建物でチョンスとヒジョンは出会うが、今回はカメラの構図も微妙に違っているし、どこか会話がぎこちない。アトリエでは言いたい放題を言ったチョンスにヒジョンが腹をたてる。

その後寿司屋で、悪酔いしたチョンスは愛してる、結婚してと連発。店の外で拾った指輪をプレゼントする。カフェではチョンスはいきなり服を脱いで先輩たちに顰蹙を買うが、その後ヒジョンを家まで送ったチョンスは、どこかいい関係になる。

翌日、チョンスは映画の講演をし、帰る時、ヒジョンが現れる。チョンスは昨夜のことを話し、ソウルへ旅立つ。ヒジョンは映画を見た後一人家に向かう。前半と違って雪はしんしんと降っている。ヒジョンの後ろ姿がどこか切ない。

後半は明らかに二人の仲は悪くなる展開のはずが前半よりも親密に流れる下から一気にラストの切ないエンディングへ持っていく脚本が見事。これがホン・サンスの魅力ですね。ファンタジーのような作品でした。