「イマジネーションゲーム」
話が面白そうだったので観に行った。オリジナルならこのくらいならよくできたレベルだと思うのですが、細かいところがやや雑なのが気になり、ちょっと手慣れた素人映画レベルの一本でした。監督は秦泰介
一人の女性真紀子がスマホで自分の下着を脱いで、路上に隠すところから映画が始まる。どこに隠されたかヒントを書き込みながら男たちが探し回るサイトがヒットしている。真紀子は大手ゼネコンのキャリアウーマンで、会社では部下を厳しく躾けする上司でもあった。そういう真紀子に反感を持つ新入りの女子社員久美子もいた。
ここに夫に対して密かに復讐しそれをブログにアップしてカリスマになっている葵という主婦がいる。妻の不審行動に探偵を雇った夫は、そに現場の証拠を掴み葵に迫る。身の危険を感じた葵は、公園で野宿しようとして真紀子と知り合う。
真紀子は自分の正体を見破られたことで葵を仲間にしようと自宅に住ませ、洋服などをプレゼントする。
一方、たまたま該当ビデオに映っていた男同士の喧嘩に不審を持った刑事が、その映像の直前に写っていた真紀子を麻薬の売人と勘違いする。この設定がいかにもしょぼい。
張っていた刑事が真紀子を捕まえ、夜中の女神という愛称の真紀子が実はおばさんだとネットに広がり炎上。会社では真紀子に反抗して女の武器を使おうとして思い止まった久美子が、舞い上がった真紀子に親しみを感じる。
やがて葵は離婚、三年後、葵は真紀子がいた会社に派遣として就職、上司は久美子になる。久美子は一方で真紀子の小移動を容認しながらも自分の考えを進めるいい上司になっていた。
真紀子は下着販売で成功し、今は真昼の女神として、会社の宣伝を行っていた。
真紀子が父にもらった巨大なクマのぬいぐるみが、葵と真紀子がベランダで眠っている時に別れを告げて消えていくファンタジックなシーンもある。
描いている物語は面白いが脚本力はないようで、どこか雑に見える。演出も、妙に揺れる手持ちカメラも気になるし、板野友美、久本雅美二人の演技も今ひとつ、まぁ、素人映画に毛の生えた作品という印象でした?
「ボリショイ・バレエ 2人のスワン」
ボリショイ劇場でのバレエシーンが圧巻、それを見るだけでも値打ちがあるというものですが、やはりボリショイバレエ団の本拠地ロシアの映画だけあって、全体が非常にリアリティがあり心地良い陶酔感に浸ることができました。監督はバレーリー・トドロフスキ。
1人の少女ユリアが酔っ払いの父に連れられボリショイバレエ学校を受けに来るところから映画が始まる。父親はかつて有名なバレエダンサーで、今回の審査員の1人ガリーナと知り合いであったことから強引に入学させる。
そこでユリアは、才能豊かで裕福な家庭のカリーナと出会う。2人は意気投合し、物語はこの2人を中心に、レッスンをしながら成長していく姿を描く。
恋、ガリーナのアルツハイマーの発症などの試練の中、アカデミーの卒業公演はユリアが獲得したものの、ボリショイ劇場での白鳥の湖の主役はカリーナが射止める。
そして公演の日、この日、引退をする名ダンサーアントワーヌ・デュバルに初めてユリアが会った日がフラッシュバックされる。その日はアントワーヌ・デュバルのデビューの日で、緊張しきっていたものの1人の少女との出会いでその緊張がほぐれたことをアントワーヌはユリアに話す。もちろんその少女が幼き日のユリアだとは知らない。
そしてカリーナはユリアに主役を譲るために嘘の怪我で行方をくらまし、代役だったユリアが颯爽と舞台に飛び出すシーンで映画が終わる。
ユリアが舞台に出る袖ではかつてのクラスメートたちが暖かく微笑むシーンもあり、さわやかな青春ドラマとしての仕上がりになっている。何と言っても劇場の壮麗なシーンが素晴らしい映画だった。