くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「新・人間失格」「輝ける人生」「大人のためのグリム童話

「新・人間失格
なんとも荒っぽい脚本で、前半は流れが掴めなかった。いくら原作があり、その思い入れがあった上での作品とは言っても、ちょっとマイペースすぎる気がするし、主演の役者があまりに演技力がなさすぎるのもちょっと辛かった。監督は吉留紘平。

主人公城山が友人の男と車で走っているシーンから映画が始まる。ふとしたことでこの友人を殴り倒してしまい、友人に怪我をさせてそのまま立ち去る。

そしていく先々で、様々な人と関わり、自堕落で適当な毎日を送る姿が描かれていく。

ATG映画の悪い部分が目立った作品で、どうも主人公に共感もしないし、映像が綺麗というわけでもない。かなり監督の自己主張が前面に出た感じの一本でした。


輝ける人生
ちょっと素敵な映画でした。話の構成がやや弱いですが、これだけ名優が集まると、ぶれることなく深みのあるお話に仕上がっていたなぁという感じです。監督はリチャード・ロンクレイン

主人公サンドラの夫マイクが爵位を授けられそのパーティのシーンから映画が始まる。ところが、その日にマイクはサンドラの親友と不倫していたことが発覚、サンドラは怒って飛び出し姉のビフの家に転がり込む。

ビフは自由奔放に生きて来て、結婚はしていないがダンス友達のチャーリーたちと楽しく暮らしていた。やがて離婚申請書が届きサンドラは離婚。どうして良いかわからない中ビフは彼女をダンスサークルに誘う。

物語はこのサークルの仲間達との交流で、次第に若い頃の夢を取り戻していくサンドラが描かれる。そしてそこでチャーリーと次第に親しくなるがチャーリーにはアルツハイマーの妻がいた。

ダンスサークルがチャリティで行なったダンスが話題になりローマに招かれることになる。ところが、ビフに末期癌の宣告がなされる。さらにマイクたちの結婚もうまくいっていないと娘から連絡をもらうサンドラ。

そして、ローマのダンスも大成功するが、ビフは死んでしまう。その葬儀の日に、マイクから戻って欲しいと言われる。密かに惹かれていたチャーリーは一人去り、サンドラはマイクの元に。そこへ、チャーリーから妻が亡くなったこと、フランスへ旅立つがよかったら来ないかという手紙が届く。

一旦はマイクの元に戻ったサンドラだが、やはりかつての生活は合わないと判断、チャーリーの元へ走る。

船に乗り、フランスへ出発し、運河を走るチャーリーに追いついたサンドラは、船に飛び乗って映画が終わる。

ストーリーの一貫性がややぶれている物語構成が残念ですが、ベテランの名優たちの味のある演技が映画に深みを生み出し、ちょっと素敵な作品に仕上がっていました。ラストの船がトンネルを抜けるのに合わせて追いつくサンドラの映画的な絵作りはなかなかのものでした。


「大人のためのグリム童話 手をなくした少女」
独特のオリジナリティで描くアニメーション。シンプルな絵と、かすれるような輪郭線の変化が見せるリズムが不思議な魅力のある一本で、ストーリーテリングもしっかりしていて、完成度の高い映画でした。監督はセバスチャン・ローデンバック

森に入った貧乏なきこりが、ひもじい思いをしているところに悪魔が現れ水車小屋の後ろにあるものをくれたら黄金を与えると言う。深く考えずに承諾したのだが、戻ってみると、水車小屋の後ろにあったリンゴの木には娘が登っていて悪魔が狙ったのはその娘だと知るが時すでに遅く、水車小屋に流れる水が黄金に変わりきこりは大金持ちになる。

やがて悪魔がやって来て娘を要求、金に目が眩んだ父は娘を差し出そうとするが、純粋すぎる娘に悪魔が近づけない。悪魔は、涙で清められた両手を切りおとせと木こりに命令する。ところが手を切っても近づけない悪魔はその場は去る。

娘は家を出て、彼方の城の王子に見初められ結婚。しかし、王子は戦争に行く。その間に出産するが、悪魔の仕業で嘘の連絡と、子供を殺すようにという嘘の王子からの手紙が来て、庭師に逃がしてもらった娘は、ある小屋で生活を始める。

戦争が終わり帰って来た王子は事の次第を知り妻を探しに行き見つける。そこに悪魔がやって来るがどうしても娘に触れられず、諦めて去る。娘の腕も元に戻り、王子と子供と幸せに暮らしましたと終わります。

お話もよくわかるし、絵作りも美しく独創的。見応えのあるアニメーションでした。