くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「アイ・フィール・プリティ!人生最高のハプニング」「高い壁」

「アイ・フィール・プリティ 人生最高のハプニング」

面白い映画なのですが、全体に透明感がないのと、エピソードの配分の悪さ、脇役の活かし方が中途半端なので、普通の映画に見えてしまった。監督はアビー・コーン&マーク・シルバースタイン。

 

どう見てもナイスバディでも超美形でもないレネーは、似たような友達とつるんでそれなりの毎日を送っている。しかし夢は、抜群の美女になること、そして、今はネット販売の部門で働いている化粧品会社の本社勤務で華やかに暮らす。もちろん男性関係も含めてだった。

 

必死で美しくなろうととあるジムでトレーニングをし始めるが器具が壊れて落下、頭を強く打ってしまう。そして目覚めたレネーは自分がスレンダーな美女に変身したと勘違いしてしまう。

 

そして一気に前向きに変わった彼女は、男をナンパし、自尊心の塊で本社の受付に応募、持ち前のトークで採用されてしまう。この辺り、主演のエイミー・シューマーが今ひとつ弾けてこないし、脇役の同僚やミッシェル・ウィリアムスも生きてこないので、物語がどんどんしょぼくなっていく。

 

展開として、常道の、会社では成功していく一方で、恋人のイーサンとは疎遠になり、友達からも離されていく。だからといって反省もなく、仕事でエヴリンと同行した先のホテルで頭を打ち元に戻る。

 

しかし、友達も何もかも離れていたレネーは悩みに悩むがふとしたきっかけで、自分に目覚め、あっさり全て元に戻ってハッピーエンド。周りの脇役もあるべくして鞘に収まる。この辺りの取りまとめもやや雑。面白く作ればもっと面白いはずが、センスが悪いとこうなるという典型的な映画に仕上がっていました。

 

「高い壁」

見たような気がするシーンもあったので、再チェックしましたが、やはり初見でした。単純に面白かったです。フィルムノワール独特の影の使い方も、夜を基調にした暗い映像も秀逸で、サスペンスミステリーの醍醐味を味わうことができた感じです。監督はカーティス・バーンハート。

 

ある会社の重役らしい男ウイリアムがバーで酒を飲んでいるシーンから映画が始まる。会社に戻ると秘書のヘレンを呼ぶが、外出したままだという。カットが変わると一人の男が猛スピードで車を走らせている。横には一人の女ヘレンがぐったり、死んでいるようである。そして、脇道に突っ込み横転、気が浮いたこの男は病院にいる。名前はスティーブ、戦争で頭に傷を負っているので、精神障害の疑いから精神病院へ収容される。彼には妻ヘレンの殺害容疑がかかっていた。彼の担当医ロリソンは、彼を麻酔療法で治療するうち、彼は妻を殺していないのではと疑い始める。

 

彼は麻酔療法で記憶が定かでない時間を思い出す。2年間の従軍から帰ったスティーブは妻に会うため会社に行くが留守。出かけた先のメモをもらいメープル通り109の部屋へやってきたスティーブはヘレンの浮気現場を見てしまう。逆上し、首を締めようとするが気を失ってしまう。目が冷めると傍に妻が死んでいた。てっきり自分が殺したと思ったが、最後まで首を締めず気を失ったことがわかり真犯人を探し始める。しかし、入院しているため自由が利かず誰も精神病患者の言葉を信じない。唯一信じたロリソンが彼に協力する。

 

一方、109号室のアパートの管理人クロナーが、あの部屋にもう一人いたことをスティーブに告げるが直後エレベータ修理中に殺される。犯人はウィリアムだが、それを知るには観客のみ。

 

物語はスティーブとロリソンが、ウィリアムを追い詰めていくのがクライマックスとなる。かなり強引な展開もあるのですが、時代を考えるとそれもありだと思うし、ストーリー展開として実に面白いので、ありだと納得してしまう。

 

そして再三病院を抜け出しては109号室をおとづれたりウィリアムに会ったりしながら、追い詰めるが身の危険を感じたウィリアムは逆にスティーブを陥れて殺人マニアに仕立て上げ、病院から出られなくする。しかし巧みに脱走したスティーブはウィリアムを訪れ、ロリソンの協力で自白剤を打って刑事の前で真相を話させる。

 

ヘレンはウィリアムと浮気をしていて、スティーブが訪ねてきたことで危険を感じる。そして、ヘレンが全てをバラすと取締役に出世することも反故になると脅してきたのでヘレンを殺したのだ。

 

全てが明るみになり映画は終わる。自白剤というのは当時の時代性を見せる設定ながら、映画としてとにかく面白い。壁に映る影などの使い方も見事で、これぞフィルムノワールという一本でした。