くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「バハールの涙」「勝負をつけろ」

「バハールの涙」

映画作品としても、物語が伝えるメッセージとしても、相当に見応えのある映画でした。国の事情などはほとんど知識がないけれど、一人の女性戦士の生き様に圧倒されてしまいました。監督はエバ・ユッソン。

 

黙々と上がる土煙。爆弾の破裂により画面全体を覆っていく煙から映画が始まる。傍に一人の女性戦士バハールの姿がある。クルド人自治区でISと戦っているバハールは女性戦士を率いていた。この日、フランス人で戦争ジャーナリストのマチルダが取材にやってくる。以前取材に行った先で、爆弾で片目を失い眼帯をしている。

 

チルダはバハールの隊について、彼女らの姿を追っていく。バハールは、かつて弁護士で、子供、夫、父らと普通の生活をしていたが、ある日ISにより男達はその場で皆殺しにされ、子供と女は拉致された。襲ってくるISに抵抗しながらバハールの過去がフラッシュバックされ物語は進む。

 

近くのISの司令部から地下道を通ってバハール達のところが襲われるが、応援もあり、なんとかしのぎ捕虜も捉える。そしてバハールの提案で、地下道を逆に進み、司令部を急襲しようと計画する。司令部のそばには小学校があり、そこで子供達が軍事訓練を受けているらしく、バハールの息子もそこにいると推測したためである。

 

地下道の地雷をなんとか、一人の犠牲で通り抜け、司令部を奪還するバハール。彼女はマチルダに、自分が拉致された後、性奴隷としてISで数回売られ、彼女らの救出を進めている女性政治家の助けでなんとか脱出でき、今に至ったことを語る。この、かつてのバハールの脱出シーンは、非常にスリリングで手に汗握るため、その後、バハール達が、小学校へ突入して、ISとの銃撃戦が繰り返されるのがさらに緊張感を生み出していく。

 

そして、ISをなんとか追い返したと思いきや、バハールとマチルダのそばでロケット砲が落下、その爆発で二人は一瞬気を失う。足に怪我をしたマチルダがなんとか起き上がり、バハールも意識が戻り始めるが、そこに一人の少年がくる。バハールの息子である。バハールは涙を流しやっと会えた子供を抱きしめる。彼女らの背後にもくもくと立ち上る爆破後の土煙。冒頭のシーンである。

 

チルダはトラックに乗り病院へ。手を振るバハール。マチルダはトラックの荷台で、バハールら女戦士の姿を思い出すナレーションで映画が終わる。

 

胸に迫る物語が素晴らしい上に、バハールを演じたゴルシフテ・ファラハニも素晴らしい。映像表現も一級品に近く、ストーリー構成もしっかりしている。クオリティの高い一本でした。

 

「勝負(かた)をつけろ」

物語が行き当たりばったりで、何をどう作りたいのかわからない映画だった。破綻した作品という雰囲気の作品でした。監督はジョン・ベッケル。

 

ロベルトのところに一人の男が現れ、アデが捕まったから助けて欲しいという。ロベルトは、アデが収監されている刑務所に入る。そして、アデの待遇を改善してやる。

 

なぜか囚人が地雷撤去作業をしている。アデはふらっと勝手に地雷を処理しに行き爆発、片手を失う。そして画面は2年後。

 

アデとその妹、ロベルトが、幸せそうに暮らしている。田舎に移り住む予定であるようなシーンもある。

 

アデはかつての仲間ネバダから強引に金を奪うが、ネバダの仲間がアデのところにやってきて、アデの妹を撃ち殺してしまう。

 

妹の葬儀に場面、ロベルトがアデに愛想をつかしたと罵倒して去っていって映画が終わる。なんおコメントもできない映画でした。