くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「肉体の冠」

肉体の冠

これはなかなかの一品でした。物語の展開がテンポよく、しかも、ロングとミディアムを切り返すカメラワークも秀逸。発端からクライマックスまでが一つの絵になっていました。監督はジャック・ベッケル

 

ボートに乗り、川を進むマリー達のシーンから映画が始まる。マリーは娼婦だがロランという情夫がいてそれぞれの仲間、友達とこの日楽しんでいた。川岸についてダンスパーティに参加するが、マリーはそこで一人の男に惹かれる。彼の名はマンダといい、大工だった。

 

お互い一目で惚れ合い、ダンスをするが、良しとしないロランはマンダに難癖をつける。さりげなくかわしたマンダはその場を去るが、後日、マリーはマンダのもとを訪れ、口づけをする。そして酒場でロランとマンダが出会い、二人の様子から、喧嘩で決着をつけさせようと、ワイン商を営むルカが仲裁に入る。

 

ところがただの喧嘩のはずが、マンダはロランを刺し殺してしまう。隠蔽してしまおうと二人を逃したルカだが、どこから漏れたか警察が踏み込んでくる。そして、ルカは、マンダの友人が犯人だと警察にタレ込んだために、友人が逮捕される。

 

一方マンダとマリーは幸せに暮らし始めたかに思われたが、友人が逮捕されたことを新聞で知り、自首するべく警察へ行く。マリーは実力者であるルカに助けをこう。そして見返りに自分を与えるのだが、ルカは、最初からマリーが目的で助ける気は無かった。マンダは逃げてルカを追い詰め、撃ち殺す。

 

マンダも逮捕され、マンダと友人が護送される馬車をマリーも後を追い、拘置所で降りたところで、マンダ達は逃げる。逃げる途中友人は撃たれ、逮捕されたマンダは絞首刑となる。ギロチンの刃が落ちるシーンとマリーのカットで映画が終わる。

 

とにかくテンポが実によく、全体が一つの絵のような仕上がりになっているのは見事なものである。フィルムノワールの傑作の1本という空気の映画でした。