「イタリア式離婚狂想曲」
軽快そのもののリズミカルな展開とブラックユーモアが散りばめられたユニークな展開。見事というほかないテンポのいい演出に圧倒されてしまいました。監督はピエトロ・ジェルミ。
イタリアの町の空気感と登場人物がテンポよく紹介され、物語は主人公フェルディナンドに焦点していく。この冒頭の畳み掛けのうまさにまず引き込まれます。
フェルディナンドの妻ロザリアは、何かにつけベトベトとフェルディナンドに絡んでくる。その鬱陶しさに辟易しているフェルディナンドは、なんとか彼女と離婚したいと画策している。
彼は隣に住む若い娘アンジェラに気があり、彼女もまた悪い気がしていない仲だった。フェルディナンドは、ロザリオに不倫をさせて追い出す計画を立て、画家のカルメイロをロザリオに近づける。
フェルディナンドの思惑通りロザリオとカルメイロは良い仲になり、二人で駆け落ちしていく。カルメイロの奥さんも現れ、フェルディナンドを罵倒、間も無くしてロザリオらの行き先を見つけて、フェルディナンドが向かうと一足違いでカルメイロの奥さんが撃ち殺していて、続いてフェルディナンドもロザリオを撃ち殺し、訳ありの三年の刑だけで無事出所、アンジェラと結婚し、ヨットでバカンスを楽しんでいるが、アンジェラはヨットを操舵する若者に心が動いていて映画が終わる。
皮肉が散りばめられたブラックコメディですが、コマ落としした映像なども含めコミカルな軽快なテンポがとにかく小気味好く、最後まで楽しんでしまいました。
「ナポリの饗宴」
とにかく楽しいです。豪華絢爛、華やかな映像絵巻で、画面に食い入ってしまいます。監督はエットーレ・ジャンニーニ。
全編、ナポリの歴史で、これという中心の物語があるわけではない。辻歌劇芸人の家族がナポリにやってきて、風が吹いて、楽譜や台本が舞い上がって映画が始まる。
あとは、劇中劇で舞台上で展開する物語が街中に出てきたり、また書割のセットの中に入りこんだりと、所狭しとダンスシーン、歌唱シーンが展開。その豪華絢爛とした映像が何と言っても最大の見所。
やがて、二つの世界大戦も過ぎて、芸人たちがナポリを去っていって映画が終わる。とにかく美しい。これが映画だと言わんばかりの贅沢さに最初から最後まで引き込まれてしまいました。