くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「アクアマン」「小さな独裁者」

「アクアマン」

面白いという評判でかなり期待した作品でしたが、脚本が悪いためにジェームズ・ワン監督の真価が発揮できない仕上がりになっていたのが本当の残念。CGシーンを優先するあまり折角埋め込んであるミステリー部分がどうでもよくなかった上に、キャラクター同士のドラマ性もなおざりになってしまった。結局、この手の他のシリーズレベルの映画になってました。

 

ある嵐の夜、灯台守のトムは海岸に打ち上げられた一人の女性を助け上げる。なんと彼女はアトランティスの女王アトランナだった。二人は愛し合い、一子アーサーが生まれたが、アトランティスからの使者によりアトランナは海底に連れ去られてしまう。

 

やがて大きくなったアーサーはアトランティスの参謀バルコに鍛え上げられ戦士となっていた。この辺りの流れも完全に無視されている適当さはあまりに雑。

アーサーは、この日、潜水艦を襲った海賊を倒し、その首領を殺したことから息子から怨みを買うことになる。

 

アトランティスは地上の人類と戦いは避けられないと信じていて、王オームの元、七つの海底王国をまとめようとしていた。ある時、巨大な津波が襲い、アーサーはすんでのところでメラと言う女王に助けられる。

 

メラはオームの許嫁だったが、地上との戦いには反対だった。アーサーはメラやバルコの求めに応じ、伝説のトライデントを手にするべく、海底へ進んでいく。この辺りのキャラクターの背景は完全に無視されているのも削除しすぎという感じです。

 

ポセイドンの盾で作ったと言われる武器の隠し場所を発見するくだりが、謎の鍵などでミステリアスな設定になっているのに、あっさり発見できる上に、その目的地をやっと解読し、そこを目指しているのに、関係なく嵐に巻き込まれ海溝人間に襲われて、仕方なくたどり着いた海底王国で、死んだと思われていたアーサーの母アトランナと再会、しかも、アーサー王エクスカリバー伝説よろしく、トライデントを引き抜くのもあっさりと解決、そしてオームに戦いを挑むことになる。

 

とにかくアトランナを演じたニコール・キッドマンが、かなりおいしい役になっていて、彼女自身、自分を売りこんだのが見え見えの展開。派手なCGは今更ながらで、舞台が海中に移っただけというのもいまひとつ斬新さがないし、アクション演出の面白さも大したことはなく、終盤、さすがにあくびがでてしまった。しかも、オームを倒したアーサーはあっさりとアトランティスの王に収まり、あっさりと地上を攻めるという計画も立ち消えになり、アトランナがトムの元に戻るという浪花節的なエンディングがなんともお手軽。

 

ジェームズ・ワンなので、もうちょっと斬新な映像演出を期待したが、やはりCGに翻弄された感じでした。

 

「小さな独裁者」

二時間ほどの映画なのにものすごく長く感じたのは、展開が繰り返しているだけだからかもわからないが、物語はそれなりに面白かった。ただラストに向かうにつれて次第に陰惨な空気が漂い始め、しんどくなってくるのにプラスして、実話であったというテロップには参った。監督はロベルト・シュベンケ。

 

一人の男ヘロルトが、何かから逃げている。どうやら脱走兵らしく、背後からからかうように兵隊が銃で撃ってくる。必死で逃げ切ったものの、空腹で、農家に泥棒に入ったりする。

 

瀕死でさまよう彼の前に、木に衝突したジープを発見、中を見るとドイツ将校の軍服が残っていた。最初は寒さをしのぐために着たのだが、姿を映しているところへ一人の兵士がやってきて、逸れたので一緒に行動したいと言われる。どうやら自分を将校と勘違いしたと判断したヘロルトは、芝居を打つことにする。

 

こうしてヘロルトは、一人の兵隊を連れて、近くの村を周り、いかにも脱走兵のようなならず者の兵隊を仲間にして、小隊らしく行動を取り始める。そしてたまたま、野戦検問で知り合った男に犯罪者収容所へ連れて行ってもらい、そこで、自らの判断で即決裁判を始める。

 

ヘロルトが、偽物であるような疑念を持っている兵隊もいたものの、ついていけば偉そうにできるということでヘロルトに従っているような描写も出てくる。

 

ヘロルトの行動はどんどんエスカレートしていくが、突然爆撃機に攻撃され収容所は全滅。生き残った仲間と、ヘロルト即決裁判所とかいたジープで街を周り、反抗的な市民を抹殺し始める。しかし、とうとう彼は捕まり軍事裁判にかけられるが、混沌とした時代だから致し方ないと前線に転属する条件で放免する。ヘロルトは、こっそり抜け出し森の中に逃げて映画は終わる。

 

エンドクレジットで、現代のベルリンで軍服姿のヘロルトが、仲間と現代に即決裁判所を作り、町の人々を搾取する姿で暗転。なんか、後味の悪い作品でしたが、実話と考えれば、これは有りかもしれませんね。