くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「九月の恋と出会うまで」「火を噴く惑星」「妖婆 死棺の呪い」

「九月の恋と出会うまで」

ファンタジーラブストーリーなのに、そのファンタジックな部分が完全に飛んでしまって、普通のできの悪いラブストーリーで終わった感じ。終盤の処理が安易なのが最大の理由でしょうが、脚本の構成が良くないのでしょうか。監督は山本透。

 

主人公詩織が、公園で子供が落とした風船を取りに走るシーンから映画が始まり、いかにも現実離れしたおとぎ話のようなアパートへ舞台が移る。このアンバランスにまず驚くのですが、そういうファンタジーなのだと思い込んで物語を見ている。

 

詩織はこのアパートに引っ越して来たのですが、ある夜エアコンの吹き出し口から一年後の平野と称する人から声が聞こえる。そして詩織の隣に住む平野を尾行してほしいという。

 

半信半疑で尾行を始める詩織。しかし、理由を言われないままではこれ以上やらないと宣言、最後の日の尾行から帰ると部屋が空き巣に荒らされていた。しかも、この日からエアコンから声が聞こえなくなる。

 

向かいの平野がエアコンをつけたせいかと大声をだして、平野と知り合うきっかけになる。そして平野は詩織に、空き巣に殺されずに済んだ詩織は運命を変え、時間のパラドックスで、消えるかもしれないと教えられる。よくあるタイムトラベルものですね。

 

で、一年後にこの部屋に詩織がいないという状況が上手く再現できれば助かるという妙な理論を作り出し、なんとかしようと二人で奔走するうちに二人は恋に落ちる。

 

そこに、詩織の元カレが帰ってくる、転勤の話が出て、引っ越すことになる。そして一年後、覚悟を決めた詩織が会社を休んで、一人海岸でその時間を待つ。電話が入る。平野からだった。平野がその声の主だったと気がつきこの一年の行動を伝え、二人は正式に恋人となって口づけをしてエンディング。

 

原作が弱いのでしょう。ここまでが限界の映画の気がします。思い切った改編でもすれば面白くなったかもしれません。

 

「火を噴く惑星」

ロシア、というか旧ソ連SF映画特集です。とにかく、脳天気な映画でした。余計な理屈はそっちのけで、全編都合よく展開する珍品です。監督はP・クルシャンツェフという人。

 

金星に向けて三機のロケットが向かっている。一機が隕石にやられ、残り二機で金星への着陸を検討して一機を軌道上に残し、一機が着陸。

 

そこには恐竜がいたり、ゴジラみたいなのがいっぱい襲ってきたり、とにかくやりたい放題。連れていったロボットは敬語にしか反応しないし、雨には弱いが溶岩の中も歩けたりする。

 

そして冒険を終えて、みんなが帰路につく。金星にいる金星人がおもむろに現れ、陽気な歌ととものエンディング。唖然とする陽気さに、ただもう呆れるほどの一本でした。

 

妖婆 死棺の呪い

テレビでは何度も見ていましたが、伝説のカルト映画をとうとうスクリーンで見ました。宗教絵画のような画面の構図と色彩が美しかった。やはり特撮シーンは秀逸です。監督はアレクサンドル・プトゥシコ

 

神学校で明日から夏休みという日から映画が始まる。ホマーら悪ガキ達は学校を飛び出した途端、先生の戒めもどこ吹く風で学校を出た途端やりたい放題に飛び出していく。ところが、暴れすぎて深い霧の中で道に迷った三人は、なんとか見つけた農家に泊めてもらうことにする。ところがここの老婆こそ魔女だった。

 

一人で入った小屋でホマーは老婆に迫られ、肩車をさせられて馬のように走らされた挙句、空に舞い上がってしまう。ホマーは必死で祈りを捧げ地面に降り、老婆を振り落として棒で殴るが、気がつくと老婆は美しい娘に変わっていた。

 

ホマーはその場を逃げ神学校に戻ってくるが、そこへある村の村長から娘に祈りを捧げてほしいと使いが寄越される。なにやらその娘は何者かに襲われたのだという。渋々その使いについてホマーは村に向かうがおりしも娘は死んでしまう。

 

娘の遺言により、三晩祈りを捧げてくれたら礼をすると言われ、仕方なく礼拝所に安置された娘に祈りを捧げるべくホマーは中に入る。ところが、遊び半分に祈りを捧げようとするホマーの前に、目を開け迫ってくる娘。必死で神の結界を描いて身を守ろうとするホマー。やがて鶏の声とともに一晩目が終わる。

 

二番目は酒で気持ちを紛らわせ礼拝所に入るホマー。今度は棺に乗ったまま迫ってくる娘。実はこの娘こそ魔女なのである。

 

そしてなんとかやり過ごしたホマーは、三晩目は堪忍してほしいと懇願するが許してもらえず、礼拝堂へ入る。娘は有る限りの魔物を呼び出し、ホマーを襲ってきた。そして最後にヴィーという魔物を呼び出す。それこそ、結界で隠されたホマーを見つけることができる魔物だった。

 

ヴィーに見破られ、全ての魔物がホマーを襲う。ニワトリが鳴くが魔物はホマーを襲い殺してしまう。扉を開けて入ってきた神学校の教師達は娘が老婆に変わっている事に驚愕する。

カットが変わると、ホマーの仲間二人がその噂話をしているシーンで映画が終わる。

 

礼拝堂内の特撮シーンが実に素晴らしいし、まさに職人技のような映像表現も秀逸。全体が宗教画のような構図と展開もなかなかの仕上がりで、傑作名作ではなくカルト映画という感じではあるものの見る価値がある一本でした。