くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「大統領の陰謀」「特捜部Q カルテ番号64」

大統領の陰謀

ウォーターゲート事件を扱った名作。個々の人物名や展開は正直、史実に詳しくないのでわからないのですが、そこを映像で緊迫感を生み出してグイグイと引っ張っていく力にラストまで引き込まれます。監督はアラン・J・パクラ

 

民主党本部に五人の男が侵入する場面から映画が始まり、そして犯人が逮捕されるが、なぜかすでに弁護士が決まっていて、しかも大金を所持していた。

 

不審に思ったワシントンポストのウッドワードは独自に捜査し始める。まだまだ新前のウッドワードに力を貸したのがベテランのバーンスタイン。二人は巨額の金がニクソンの再選委員会を通じて犯人に渡ったらしいことを突き止めるが、決してその首謀者を突き止める証拠が見えてこない。

 

映画は、政府上層部で巧みに隠された陰謀の証拠を固めていくウッドワードとバーンスタインの行動が描かれていく。

 

手前にニュースが映ったテレビ画面を配置し奥で人物の動きを捉える構図を多用した画面作りと、新聞社内をハイスピードで横移動してウッドワードらの動きを捉える編集が実に見事。

 

そして、最後の最後、ニクソンの再選後、辞職までがタイプライターで語られて映画が終わる。とにかく、物語と映像の構成が実にうまい。話の詳細がよくわからなくても、物語の展開が緊張感あふれる迫力で伝わってくる。これが映画を作るということです。必見の一本ですね。面白かったです。

 

「特捜部Q カルテ番号64」

このシリーズも四作目に入ったが、今回のはわかりやすくて面白かった。物語の組み立ても巧みで、見せ場の連続が楽しめる一本でした。監督はクリストファー・ボー。

 

一人の女性が走っている。恋人の元に駆けつけた彼女は、車の中で体を合わせるが、そこへ娘の父が現れ彼女を連れ去ってしまう。時は1961年。父親はその娘を離れ島の女子収容所で強制させるべく送り込んでしまう。かつてデンマークにはこういう矯正施設があったのだ。

 

時は現代、一軒のアパートの空室に設計外の壁がありので壊してほしいと大家が業者を連れてくる。そして壁を壊すとなんと奥にミイラの死体が三体。

 

難事件の様相に特捜部Qのカールとアサドが勝手に向かう。まるで特命係の右京達だなと思う。そして捜査を始めるカール達。物語はこの現代と1961年の女子収容所の異常な状況が交互に描かれて、やがて終盤にかけて二つの物語が一つに絡まってくる。

 

収容所では、普通ではないと判断された女性に勝手に不妊治療を施していたが、それが現代に引き継がれるにつれ、その対象は移民女性に向けられ、そういう考えを持った医師、あるいは財界人は裏の組織を結成して秘密裏に手術を施していた。

 

冒頭の殺人事件は、女子収容所へ無理やり入れられ、不妊治療された冒頭の女性が復讐のために当時の医師達関係者を殺したのである。

 

物語が真相に向かっていく中に、アサドの知人の女性が犠牲者になったり、特捜部の女性がピンチになったり、と盛りたくさんのエピソードがうまく絡ませていて、最後まで飽きない。

 

デンマーク作品でなければ普通にロードショー公開しても十分見るに耐えるシリーズだと思う。今回も相当に面白かった。