くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「家族のレシピ」「ROMAローマ」

「家族のレシピ」

まぁ、適当な映画です。ここまで適当な脚本で映画を作るという製作側の考えが見えない一本。まあ、松田聖子が映画に出るくらいのノリで見に行った。監督はエリック・クー。

 

主人公真人が父の店でラーメンを作っているシーンから映画が始まり。父と真人はほとんど会話がない。ある朝、父が倒れそのまま亡くなる。遺品を調べていて母の日記帳を見つけた真人は、以前からシンガポールの料理サイトを運営しているブロガー美樹を頼って母の故郷シンガポールへやってくる。

 

こうして、真人はシンガポールで祖母を探す傍、叔父に会い、シンガポールの料理を身につけるとともに、両親の過去を発見していく。まあ、よくある話と展開だが、脚本も演出も実に雑なので、あまりの稚拙さに恥ずかしくなるのですが、これも映画、楽しむべきところは楽しんで見ました。

 

シンガポールの料理が次々出てくるし、今の街並みの美しさも見ることができる。肝心のドラマは薄っぺらいのですが、まあ、観光映画を見る感覚で楽しんだということですね。

 

「ROMA ローマ」

Netflixオリジナルドラマで、アカデミー賞外国語映画賞などを受賞。劇場公開なくネット配信のみの作品として話題になった作品ですが、イオンシネマで公開されたので見にいく。美しいモノクロ映像と計算された構図にまず引き込まれます。1970年代メキシコに住むある家族とそこに働く使用人の成長の物語。非常にシンプルなストーリーですが、じんわりと胸に迫ってくる仕上がりは見事です。監督はアルフォンソ・キュアロン

 

玄関口のエントランスを水で流して掃除している場面からタイトルが始まる。掃除をしているのはこの家の使用人のクレオで、エントランスのガレージに犬が糞をするので掃除をしている。ここには医師のアントニオとその妻ソフィ、そして四人の子供と祖母が暮らしている。クレオは子供達から慕われ、もう一人仲のいい使用人とここで働いている。

 

アントニオが、ここのエントランスに見合わないほどの幅の広い車で帰ってくる。そして家族の団欒ののち、アントニオはカナダへ出張に出るとソフィに告げ、やがて旅立つ。最初は何気ないシーンが続くが、実はアントニオには愛人がいて、出かけたままいつまでも帰ってこなくなる。

 

クレオには友人の彼氏の友達フェルミンという恋人がいる。この日もデートし体を合わせるが、実はクレオは妊娠していて、ある時、映画館でデートしている時に告白する。ところがフェルミンはそのまま行方が分からなくなってしまう。落胆するクレオをソフィは慰め、病院へ自ら運転して連れていくが、車幅の感覚音痴なのか、車の間を無理やり入る無謀さが面白い。この映画、自宅のガレージもやたら幅の広い車で乗り入れる冒頭のシーンがあり、意味ありげである。

 

ソフィはクレオをバカンスで家族で小旅行に連れていき、そこで山火事になり、みんなで必死に消すエピソードなども挿入されている。

 

一方、なんとかフェルミンの居場所を見つけたクレオは会いに行き、妊娠のことをはっきり告げたが、フェルミンはクレオを罵倒して去ってしまう。

 

ある日、祖母はクレオを街に連れて行きベビー用品を見に家具の店に入ったが、折しも起こったデモ隊と警官の衝突に遭遇、店の中に銃を持った若者数人が飛び込んでくる。そして客達を脅すが、なんとクレオを脅したのはフェルミンだった。ショックで破水したクレオは病院へ行くが死産してしまう。

 

意気消沈し落ち込んだクレオにソフィは子供達と一緒に海水浴に行こうと提案する。実はアントニオは戻ってくる気がなく、自分の荷物を取りにくると言ってきたので会いたくないソフィは家族を連れ出すことにしたのだ。

 

海岸で遊ぶソフィや子供達、ちょっとソフィがその場を離れることになり子供達に沖に行かないように言ってクレオに任せるが、二人の子供が波に飲まれそうになる。クレオは必死で二人を助け、家族は無事帰宅。ガランとした部屋でそれぞれの新しい部屋を割り当てられ、クレオも立ち直って、いつものように洗濯物を抱えて屋上に上がって行って映画が終わる。

 

淡々と展開するシンプルな物語ですが、意味ありげな幅広の車屋車幅感覚のエピソード、エントランスの犬の糞のカットなど、いろいろ意味ありげなショットもたくさん挿入されている。描くところはソフィ達家族の成長、さらにクレオの成長ですが、静かなリズムと美しいモノクロ映像で紡がれていく様はなかなかのクオリティです。