「サッドヒルを掘り返せ」
セルジオ・レオーネ監督の名作「続・夕陽のガンマン」のクライマックスであるサッドヒル墓地。今や荒地となって、どこにあるかわからなくなってしまっていたのを復元しようという活動で蘇る姿を描いたドキュメンタリー。
もともと、撮影のために作られた墓地なのですが、カメラを意識して円形に配置された独特の形状が素晴らしい。しかし、撮影から50年経ってただの平地になっていたのをたまたま発見した人が、ボランティアを募り蘇らせた。
映画ファンとしては懐かしさだけで見ているので、グダグダと苦労話を語る人々の映像はどうでもよく、それなら映画のダイジェストを入れてくれたほうがよかったと思うのが本心。
「山(モンテ)」
目を背けたくなるほどな悲惨な映画で、痛々しいほどに辛い作品でした。なんで映画館に来てまでこんな映像を見なきゃならないのかという感じです。監督はアミール・ナデリ。
巨大にそびえる岩山の麓で暮らすアゴスティーノとその家族。この日娘が亡くなり葬儀を行なっている場面から映画が始まる。先祖から代々ここで暮らす家族だが、巨大な山で日差しが遮られ作物も育たず、この日も最後の家族がこの地を離れアゴスティーノらだけになった。
なんとか生計を立て直そうと村に行くアゴスティーノだが、村人から蔑まれた目で見られ、結局何も売れずに帰る。妻のニーナは息子のジョバンニと狩をしたりしてなんとか生活をしている。
どうしようもなくなったアゴスティーノは、妻の髪留めを売るために村に行くが、盗んだと疑われ、役人に追いかけられる。先日一人の老婆にもらったロザリオで、神による救いがあるかもしれないと一抹の希望を持ったが、それも打ち砕かれ、逃げ込んだ祈祷場所のろうそくを逆さまに押し潰し、家に帰る。
ニーナとジョバンニは役人に捕まっていたが、ジョバンニはなんとか逃げ、ニーナは教会で懺悔の祈りをさせられる。
アゴスティーノが戻ってみると家族もいなくなっていたので自暴自棄になり、金槌で岩山を殴り始める。そこへ帰ってきたニーナは、おかしくなったと思うが夫のところに水を届ける。ジョバンニも戻ってきて父とともに岩山を殴り始める。
延々と、購えない現実に立ち向かおうとする家族。そして突然山が崩れ始めるのですが。映画はそこで終わります。巨大な山が人間の力で崩せるはずもなく、それでも、殴り続けざるを得ない姿もとにかく悲惨です。とにかく、どうしようもない現実が辛すぎる映画でした。