「ザ・バニシング 消失」
キューブリックが、史上最高の恐怖といったらしいサイコサスペンスを見る。のだが、全然怖くない。中盤を超えても胸に迫ってくる恐怖も緊張感もなかった。監督はジョルジュ・シュルイツァー。
レックスとサスキアのカップルがオランダからフランスへのドライブをしている。何かにつけ喧嘩しそうになるが仲直りして終わるのを繰り返す。トンネルの中でガス欠になった後も、何事もなく元どおりドライブを続ける。ここに何か謎がありそうだ。
一方で、レイモンという男の家族が描かれる。大学の教授らしいレイモンは、村はずれにのどかな山荘を購入した。ほのぼのした家族。
レックスたちがガソリンスタンドに着く。ガソリンを入れ、サスキアはドラッグストアへちょっとしたものを買いに行く。一方ここにレイモンいる。車の中で、嘘のギブスを手につけて、なにやら怪しい。
しばらくしても戻らないサスキアを探しに、レックスはドラッグストアへ行くがいない。やがてパニックになって探すが見つからない。
そして、三年が経ったらしい。レイモンは電柱に貼ってあるサスキアを探すポスターを見ている。レイモンが犯人なのは最初からわかっているがいつまでたっても、何をどうしたのか、なんのための犯行をおかしたのかはわからない。レックスには何度もレイモンから手紙が届くので、その場へ行くが全然会えない。
ある時、突然レックスはレイモンに声をかけられる。そして一緒にフランスへ行けば真相がわかるという。そして車の中でレイモンはいかにしてサスキアを誘拐するに至ったかを語り始める。
女性をナンパして拉致する計画のために山荘を買い、クロロフォルムの効き具合を自分で検証し、準備万端になったレイモンだがなかなかターゲットが見つからない。そしてあの時、偶然が重なってサスキアを誘拐してしまう。
そして、レイモンはレックスに、睡眠薬入りのコーヒーを飲めば全ての真相がわかるという。一旦断ったが、サスキアのことを思うあまりコーヒーを飲む。気がつくと、棺桶に入れられ生き埋めにされていた。恐怖に叫んでも誰も助けは来ない。
カットが変わると、レイモンが山荘の庭でくつろいでいる。子供たちがはしゃいでいる。その地面には、レイモンが埋めたものがあるかのようなカメラでエンディング。
心理サスペンスなのだが、果たして、見えるままに理解していいものか。実はトンネルでガス欠した時に、すでにサスキアは、事故で死んでいたのではないか。その幻影を追うレックスは、サスキアの誘拐事件を幻覚のように見てしまっているのではないか。そう取ればここまでの展開の意味が見えてくる気がします。
だからこそ、キューブリックが褒めたのでしょう。そう思えばなかなかの一本でしたね。
「ハロウイン」(デビッド・コーエン・グリーン監督版)
ジョン・カーペンター監督版のファンとしては全然期待していなかったが、意外に面白かった。やはりジョン・カーペンターのあの名曲を使ったのが成功だったか。しかも、オリジナル版を知る人には、名シーンのオマージュなどもあって楽しめました。監督はデビッド・コーエン・グリーン。
マイケル・マイヤーズのハロウィンの夜の惨劇から40年、二人のジャーナリストがあの事件を再調査している。マイケルは精神病院で厳重に監視されていたが、近々別の施設に移される予定になっていた。
かつてマイケルと対決したローリーは郊外の要塞のような家に住み、マイケルとの対決を考えている。そんな祖母に娘や家族は理解がない。
ハロウィンの夜、移送するトラックが横転し、マイケルは逃走、ローリーの家族の住む街へやってくる。あとは、あの名曲に乗せて惨劇が繰り返され始める。そして、最後に、ローリーに迫ってくるマイケル。
ローリーの要塞のような家に入ったマイケルは、ローリーとの対決の末、ローリーが作った地下室に閉じ込められ、家ごと燃やされて果ててしまう。果たしてマイケルは死んだのか?それはわからないが、あの惨劇から40年、マイケルも今やシニアやろうに(笑)それにジェイミー・リー・カーティスも、お年になるまでマイケルを執念で待つというのもなんともすごい。なんで40年後なのかよくわからない適当さは脇にして、普通に面白かった。