くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「スケート・キッチン」「ホワイト・クロウ 伝説のダンサー」「ラ・ヨローナ 泣く女」

「スケート・キッチン」

ドキュメンタリータッチで、手持ちカメラを多用した作品で、これという物語はないのですが、荒削りな映像が逆にみずみずしい少女たちの姿を赤裸々に捉えていて素朴で楽しかった。監督はクリスタル・モーゼル

 

主人公カミーユが大好きなスケートボードで楽しんでいるが、着地に失敗して股間に大怪我を負い、病院に行くところから映画が始まる。母親は大反対しスケートボードを禁止するが、ネットで見つけたガールズグループ「スケート・キッチン」のところの遊びに行きこっそりスケートボードを続ける。

 

手持ちカメラで彼女たちのスケボーシーンを追うカメラと自然な会話をそのまま捉える演出でドキュメンタリー風に物語が展開していく。母との諍いもどんどんエスカレートし、とうとう家を出て友達の部屋で暮らすことになる。

 

そこで一人の男性のスケーターと恋に落ちるが彼はカミーユを恋人の対象として見られないと告白する。失恋を経験したカミーユは、母の元に戻ってくる。そこには一回り成長したカミーユの姿があった。そんな彼女を温かく迎える母のカットで映画が終わる。

 

テクニカルな演出は排除し、日常そのままにカミーユたちを捉えていくカメラ演出がなかなか素朴な感じで素敵だが、どうにもどこかリズムに乗り切れていない映像が残念。素人臭さを映像で動かすという演出が欲しかった気がします。

 

「ホワイト・クロウ 伝説のダンサー」

伝説のバレエダンサールドルフ・ヌレエフの半生を描いた作品なのですが、彼の人間ドラマに焦点があるというより、ソ連という国の不自由さを批判しているように見えるのが表に出ている気がして、物語の流れがまとまらなかった気がします。監督はレイフ・ファインズ

 

1961年、ソ連のバレエダンサー、ルドルフ・ヌレエフはパリ公演の帰り政治亡命でフランスへ行く。そして物語はここに至るまでの彼の姿を描いていく。

 

ソ連でトップクラスのダンサーになったルドルフは、パリ公演にやってくる。自由を謳歌し、以前からソ連という国の閉鎖性に嫌気が指していたルドルフは、その窮屈さに辟易としていた。そんな彼を警戒するKGBのスタッフは、彼を注視するようになる。

 

そして次の公演場所ロンドンへ旅立つ時、彼一人だけ、ソ連に戻るように命令か届く。おかしいと感じたルドルフはフランスのダンサーに助けを求め、大富豪クララの助けを得て、フランス亡命を決意する。そして空港で待つ間にその最大の決断を行いフランスへ亡命する。

 

KGBの強硬な行動を制して彼は無事フランス亡命を果たして映画が終わる。このクライマックスも緊張感はあるものの、もう1つハラハラ感が弱いし、彼がどれだけ偉大なダンサーかという描写がほとんどない上に、彼の苦悩する姿がもう一歩伝わりきれていない感じなのが残念。

 

ルドルフを演じたオレグ・イベンコのダンスシーンは素晴らしいが、もう少し舞台の華麗な映像をもうちょっと見たい気がしました。

 

「ラ・ヨローナ 泣く女」

本当に荒い脚本で穴だらけですが、まあ、ホラー映画というのはえてしてこのレベルの方が気楽に見れるので、それなりに突っ込みながら楽しませてもらいました。監督はマイケル・チャベス

 

17世紀のメキシコで、この物語の元になる惨事が起こる場面から映画は始まる。そして時は1973年へ。なんでこの中途半端な現代なのかは後ほどわかるのですが、いかにも今風の母と子供二人のドタバタした家庭の朝。

 

その家の母アンナはソーシャルワーカーで、この夜、担当の家に行き、母に監禁されている子供二人を助けるが、保護先で突然行方をくらませた子供たちは近くの川で溺死する。

 

その現場に子供を連れて行ったアンナ。アンナの夫は警官だが殉職したのか、まだ死んで間もないようで、夜中に子供だけ置いとけないので連れて行った。しかしそこで、いかにも不気味な女に呪われてしまう。

 

次々と恐ろしいことがアンナの周りで起こり始め、どうやらラ・ヨローナの呪いだと神父に説明され、呪術師のラファエルを紹介される。この神父、数年前に呪いを信じるようになったが、そのきっかけがある人形、つまりアナベルであることがわかる。で、1973年なのだ。

 

あとは悪霊ラ・ヨローナとラファエルの戦いなのだが、ほとんど棒立ちで役に立たない風にしか見えないラファエルが突っ込みどころ満載。

 

結局、子供二人と母親がラ・ヨローナを倒して大団円。反教会のラファエルのドラマ部分が全然描けていないし、とにかくストーリー展開が雑。こうしてみると「エクソシスト」がいかに優れた映画だったかがわかる。ラ・ヨローナの出現シーンは確かに怖いが、単調でワンパターンなので、盛り上がりにかけるし、結局あっさりやられてしまうし、まあこの程度かというホラーだった。