テレビのスペシャル版程度の仕上がりですが、元々のドラマがそれほどのものではないので、十分楽しめました。脚本がそこそこなら三流監督でもそれなりの映画になるという黒澤明の名言を実践したような映画でした。監督は田中亮、脚本は古沢良太。
ダー子らのグループが暇を持て余し、次のターゲットを物色しているところから始まり、一方でダー子らに二十億を騙し取られ恨みを抱いている、裏社会のボス赤星の場面を挿入して物語の展開の下地を作る。
ダー子らのターゲットは香港の女帝ラン・リウ。その顔も知られないために、その下調べから、彼女へ近づくすべを探し始めるのが前半。なんとか食い入って、彼女から伝説のダイヤを手に入れるのが中盤、そして例によっての大どんでん返しが明らかになる終盤とテレビ版同様に展開していく。
最大の弱さが、ラン・リウを演じた竹内結子のカリスマ性のなさ。さらに、実は彼女こそ、ダー子が尊敬するスターと呼ぶ詐欺師だというラストの種明かしした後でも、彼女がそれほどの人物に見えない弱さがこの映画の最大の欠点。決して演技が下手ではないけど、単純に配役ミスだと思います。しかも物語の流れが最初からバレバレで、ラン・リウが偽物というのもはっきりわかりすぎる。
非常に雑な脚本ながら、それなりにフェイクを仕掛けた軽い物語に仕上がっているので、この程度で満足している観客には十分楽しめることかと思う。実際私もまあまあ楽しんだし。
このシリーズに一級品のサスペンスやどんでん返しを期待してもダメなのはテレビ版を見ているときかわかっていたので、それほど期待もしてなかったというのもある。まあ、軽い娯楽映画程度の一本でした。