「スノー・ロワイヤル」
サスペンスとかアクションとかではなく、ブラックコメディです。余計な理屈や経緯をすっ飛ばしてどんどん話を前に進めて行く軽快さが楽しいし、毒だらけの展開も面白いし、とってもいい人なんか全然出てこない俗っぽさも爽快。監督はハンス・ペテル・モランド。
田舎町キーホーで除雪作業員をしているネルズ・コックスマンが模範市民賞を受けているところから映画が始まる。カットが変わると彼の息子で空港で仕事をしているカイルが何者かに拉致され、薬を注射され、街に放置される。
ここにバイキングと呼ばれる地元の麻薬組織のボスがいる。子供は学校でいじめられ、一方父親は異常な健康主義者で食べ物のメニューにも口を出す。
息子が死んで意気消沈するネルズだが、薬の過剰摂取が原因と言われ不審に思う。そんなところへ息子の同僚が現れ、出来心で盗んだ麻薬のせいでカイルは殺されたと言ってそのまま逃げる。
ネルズは復讐を誓い、息子を殺した人物を下っ端から順番に殺し始める。ターゲットを突き止めて行く下りがほとんど余計な経緯を描かず、すぐにたどり着くのだが、その鮮やかさで、違和感なく見れる。
一方、次々と部下を殺されたバイキングは、敵対する組織で、先住民の麻薬組織のボス、ホワイトブルをその犯人に疑い始め、バイキングはホワイトブルの手下を狙い始める。
また地元の警察もこれまで大きな事件もなかったので、このまま麻薬組織同士が争って相打ちしてくれればと思っている。
そんな中、ネルズは次第にバイキングに近づき、かつて裏社会にいた兄のアドバイスで殺し屋を雇うがあっさり裏切られる。そしてネルズはとうとうその息子を拉致することに成功する。一方ホワイトブルの手下もバイキングの息子を狙っていたがネルズに先を越される。
こうして三つ巴四つ巴のバトルが展開、バイキングも今回の犯人はネルズと特定、彼の仕事場を襲ってくる。バイキングの手下でバイキングに反感のある部下がホワイトブルにバイキングの行き先を知らせ、ネルズの仕事場で大銃撃戦となり、同士討ちになってそれぞれ死んでいく。残ったのはネルズとホワイトブル。駆けつけた警察も手に負えない状況を知る。
バイキングの息子はネルズを追って除雪車を運転して消える。ネルズは乗ってきたホワイトブルと除雪の仕事に戻る。かなたから、ホワイトブルの手下がハングライダーに乗ってきてネルズの除雪車にはねられ映画は終わる。
とまあ、コメディである。そのばかばかしいほどな展開が心地よい一本でした。