くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「メン・イン・ブラック インターナショナル」「旅のおわり世界のはじまり」

メン・イン・ブラック インターナショナル」

まあ、面白さは普通だった。やはりウィル・スミス、トミー・リー・ジョーンズからのキャスト変更が一気にカリスマ性をダウンさせたのは否めないですね。監督はF・ゲイリー・グレイ

 

なにやら凶悪なエイリアンを退治する2016年に物語は始まり、さらに20年前の一人の少女がMIBに入り夢を抱くエピソードへと飛んで現代へ。

 

大人になった少女モリーはMIBに入るべくハッキングで得た情報でMIBの施設に潜り込み強引に見習いになる。そして、相棒でイケメンのエージェントMと組んで、超破壊兵器をめぐるMIB内のスパイ摘発ミッションに参加する。

 

明らかに最初からリーアム・ニーソン扮するハイHが怪しいし、案の定そういうことで、悪のエイリアンに同化されたハイHとMらの戦いになる。

 

脇に出てくるエイリアンの個性が今ひとつで、全体に貧相な仕上がりになったのはちょっと残念な映画でした。

 

「旅のおわり世界のはじまり」

これは良かった。最近見た日本映画の中で最高の一本という感じです。リポート撮影のシーンからどんどん物語が動いて行って、それに伴って主人公葉子の心の変化が波のうねりのように高まっていく様が、スクリーンから圧倒的な迫力で溢れ出てくる。クライマックスの「愛の讃歌」を歌うシーンはもう圧巻で、なぜか涙が溢れてきてしまいました。監督は黒沢清

 

ウズベキスタン共和国に幻の魚のリポート撮影にやってきた日本のクルー達。しかし幻の怪魚は全くかからない。リポーターでやってきた葉子は、今の仕事が自分の目標から外れていくような疑問と東京にいる消防士をしている彼氏のことしか頭にない。淡々と仕事をこなす葉子の姿から映画は始まる。

 

食事を買うために、地理感のない街をさまよう葉子の姿は、心の葛藤そのままに見える。辺境の地での撮影の中、怪魚を諦めたクルー達だが、葉子はたまたまさまよっていて見つけた一匹のヤギを自然に返すシーンを撮ってみようと言い出す。そして、なんとかヤギを解放してやり、クルーは首都であるタシケントに移る。

 

街中の小さな遊園地の撮影をし、何気ない街の様子を納めていく。都会だというのにここでも葉子は街中でさまよい、たまたま入りこんでしまった大きなホールで、自分が舞台で歌う幻想を見る。

 

そして、街の巨大なマーケットを撮影することになり、葉子もカメラを持って撮影するうちに葉子は無我夢中でカメラを回していて、撮影禁止地区に入ってしまう。言葉もわからない中警官に追われる葉子。そして、とうとう警察署へ。しかし署内で担当の刑事と話すうち、今まで疎外感しか感じなかったウズベキスタンの人の姿が葉子の心に暖かく沁み始める。

 

そんな時、東京湾のコンビナート火事の映像を見かけた葉子は、必死で彼氏に電話をするが繋がらない。意気消沈する中深夜にようやく電話があり、無事が確認される。

 

主だったクルーは一旦帰国することになり、カメラマンと葉子だけが残ってクルーが戻るのを待つことにする。そして、怪魚の映像にまたチャレンジするが、全くかからない。そんな時、地元の漁師が、山間に伝説の巨大生き物がいるからと案内してくれることになる。

 

半信半疑ながらも、何かしていないとどうしようもないカメラマンと葉子はその撮影のため、小高い丘にどんどん登っていく。そして、途中でカメラマンが実景を取るため立ち止まり葉子が一人で先へ進み丘の上に出る。彼方を見ているとなんと、葉子が放したヤギの姿があった。

 

葉子の脳裏に、東京に戻って受ける予定のミュージカルオーディションで歌う予定の「愛の讃歌」が聞こえてくる。そしていつの間にか葉子はその歌を歌い始め、彼女のアップで映画は終わる。

 

素晴らしいです。素敵です。言葉のわからない国でただひたすらさまよう葉子が、いつの間にかウズベキスタンの人々の心に触れ、やがて自分の心の変化していく様が見事に映像になって昇華されています。本当に良かった。いい映画でした。