くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

「泣くな赤鬼」「ウィーアーリトルゾンビーズ」「青い戦慄」

「泣くな赤鬼」

好みの話ではないのですが、それにしても全然胸に迫ってくるものがなかった。脚本が悪いのか演出が弱いのか、ちょっと普通の映画でした。監督は兼重淳。

 

主人公の小渕はかつては赤鬼と言われるほどの厳しい指導で野球部を率いていた教師だった。胃の具合が悪く病院へ行っての待合で、かつての教え子でゴルゴというあだ名の斎藤に声をかけられる。

 

間も無くして、斎藤の妻が、斎藤が末期がんで余命いくばくもないので会いに来て欲しいと、小渕の勤める学校にやってくる。

 

小渕は今では進学校に転勤し、野球部を率いているもののかつての熱意は失せていた。物語はここから、斎藤の高校時代に遡り、小渕とのドラマが描かれていく。

 

才能はあるのに不器用で、努力をすることを嫌い、格好ばかりつけていた高校時代の斎藤。そんな彼をなんとかしようとする小渕だが、どんどん距離が広がり、やがて斎藤は高校さえもやめてしまった。

 

そして今、死を前にして、斎藤はもう一度野球がしたいと言い、小渕は、いまの高校の部員に混じって野球をさせることにする。そして、二、三球ノックをしたものの、そこに、かつて斎藤を奮起させるために小渕がライバルにした和田が現れる。

 

そして、思いを遂げた斎藤は間も無くして死んでいくのですが、なんとも一つ一つのキャラクターが物語に彩りを加えてこないために、とにかく、全然迫って来ない。かつての高校での小渕の複雑な想いも見えないし、和田の存在も物語のスパイスにならない。とにかく雑な映画だった気がします。

 

「ウィーアーリトルゾンビーズ

感じるままの感性を映像に昇華していって、テンポを作り出した作品としては、癖になるほどに面白い映画です。見ていて、次はどうなるのというほどにはまってしまいますが、じゃあ、映画として傑作なのかというと、そういう言葉で表現するものではないなにか不思議な感覚で楽しんでしまう作品だと思います。監督は長久允。

 

主人公ヒカリが両親の火葬される煙を見ている場面から映画が始まる。そこに、私も僕もという少年少女たちがやってきて、皆両親が死んだのだという。なぜか意気投合?した展開で、仲良しになる。

 

葬儀の場面に変わり、ヒカリはひたすら退屈を連発し、ポケットゲームで遊んでいる。そしてやがて、知り合った少年たちと一緒にこの世界を飛び出すことに。とまあ、はちゃめちゃなオープニングだ。

 

CGで作られたポップな背景と、電子音楽のリズムに乗って、冷めたセリフの応酬を繰り返しながら、時に社会を時に大人を時に自分らを嘲笑っていく。その乾いた毒舌の繰り返しと映像の絡みにはまっていきます。

 

ラクタ置き場で見つけた楽器で、LITTLE ZOMBIESというバンドを組んで歌い始めるが、それがネットで話題となり、やがてメジャーの世界へ。当然ながら大人の世界が襲ってくるが、そんなものはものともせず、好き勝手に歌い喋るヒカリたちは、ある時突然解散。

 

四人は、ひかるの両親が死んだ事故現場へ、車を盗んで向かう。そのあと事故を起こし、水中に落ちるが、このままリセットするかどうかゲームの選択をし、もう一度生まれてきて、ヒカルは葬式の場面の後親戚に引き取られることになるが、駅で他の3人に引き止められ、何処かへ向かって映画は終わる。

 

ほとんど自然の風景をなくし、電子音楽に乗せた乾いた物語はオリジナリティがある。監督の感性任せの作品なので、次の映画がやや興味ありというところです。

 

「青い戦慄」

素直に面白いフィルムノワール。もうちょっとラストの処理がうまくいけば傑作になったろうという映画ですが、なにも考えずに楽しむには十分な映画でした。監督はジョージ・マーシャル

 

軍隊帰りの主人公ジョニー、ジョージ、バズが酒場に入るところから映画が始まる。バズは頭に銃弾を浴びていて、何かにつけ、すぐイラついてしまう。

 

ジョニーは一人妻の元へ行くが、妻のヘレンは酒浸りで、友達を呼んでパーティをしている。ジョニーはその席で、ヘレンがエディという男といい仲なのを察知してしまい、客を帰した後大喧嘩をして出て行く。

 

ところがその翌朝、ヘレンが殺されたという記事が出て、ジョニーは追われる身に。そこに、ヘレンが泊まっていたバンガローの嫌味な探偵や、エディの部下などが絡む。

 

ジョニーはヘレンと喧嘩別れした後、雨の中歩いていて、たまたま一人の女性の車に拾われるが、その女性はエディの妻だったり、人間関係が次々と絡んでくる。さらに戦友のバズは、ジョニーがヘレンと喧嘩したことを知って、ヘレンのところに1人で出かけたりもしている。

 

果たしてヘレンを殺したのは誰かという犯人探しの展開で、いかにも精神的におかしいバズのように思わせ、とうとう自白してしまうが、一方、エディを追い詰めたジョニーはエディの仲間ともみ合う時にエディは撃たれて死んでしまう。

 

自白したバズの元へ全員が警察署に集まるが、警察署で、警部は、犯人がバンガローの嫌味な探偵だと真相を暴く。

 

エディの妻といい仲になったジョニーを置いてバズたちが飲みに行って映画は終わる。まぁ、こういう気楽なサスペンスを楽しむのに十分な映画でした。