くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「COLD WAR あの歌、2つの心」「マカオ」

「COLD WAR あの歌、2つの心」

モノクロスタンダードの画面がとにかく美しいし、民族音楽を基調にしたメロディの奏でる背景も素敵で、クオリティの非常に高い作品でした。物語はエピソードの流れの羅列のように思えなくもないのですが、それを詩文と捉えれば非常に詩的な映像作りと言えます。背景がポーランドの戦後なので政治色が強いストーリーとはいえ、ひたむきに恋を追い求める男女の大人のラブストーリーという感じでした。監督はパベウ・パブリコフスキ。

 

1949年、第二次大戦直後のポーランド。地方の民族音楽を調べているらしいヴィクトルたちの映像から映画は幕を開ける。舞踏団を結成するメンバーをスカウトに回っていたピアニストのヴィクトルは一人の女性ズーラを採用する。間も無くして二人は恋に落ちるが、ポーランド上層部は舞踏団を政治的利用をしようとする。

 

そんな事に辟易してきたヴィクトルはフランスへ亡命する。そしてパリでそれなりの芸術的な地位に上り詰めていく。一方のズーラも歌手として成功を収めていく。そして、パリで再会した二人は再び恋が燃え上がる。しかし、ズーラはその後、ポーランドへ戻ってしまう。

 

どうしても会いたいヴィクトルは逮捕されることを覚悟でポーランドに戻るが、15年の刑期で捕まってしまう。ズーラは、彼を救い出す決心をし、政治的に力のある男と結婚し彼を救い出す。そして廃墟の教会で結婚式を挙げた後薬を飲む。映画はここで暗転して終わります。

 

冒頭にも出てくる廃墟の教会、崩れた壁画、丸く空に抜けている天井の屋根などの構図が実に美しく画面に収められています。そのほか、人物を四隅の位置に配置したアングルなど、引き込まれるほどに美しい映像の数々が素晴らしい。やはり映画は光と影の芸術だなと思います。素晴らしかった。

 

マカオ

普通の犯罪映画という感じのフィルムノワールでした。監督はジョセフ・フォン・スタンバーグだが途中降板でニコラス・ローグが引き継ぐ。

 

マカオへ向かう船に乗っていたニックが一人の女と出会う。そして同船していた商売人のトランブルという男とも出会う。3人はマカオに着き、地元の犯罪組織のボスハロランと知り合う。

 

実はトランブルは警部補で、マカオの領海から外に出ないハロランを逮捕すべく潜入してきた。ハロランは、そうやって潜入してきた刑事を先日も殺したばかりだった。

 

こうして、関係はないが刑事と疑われハロランに目をつけられるニックと女も交えての物語が展開、見事ハロランを逮捕してニックは女とキスをして映画が終わる。まさにたわいのない犯罪ノワール。単純に面白かった。