くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「スパイダーマン ファー・フロム・ホーム」「凪待ち」

スパイダーマン ファー・フロム・ホーム」

どんどんお話は陳腐になっていって、本筋から外れていくのですが、ある意味、ヒーローものと思わなければそれなりに楽しめる。今回もそんな映画です。監督はジョン・ワッツ

 

世界中で謎の怪物が現れ、どこからきたのか、頭が水晶玉という思わず吹き出しそうなヒーローがそれらをやっつける。たまたま居合わせたスパイダーマンが加勢をするところから物語は始まる。

 

好きな女の子に告白したいがヒーローとしての存在との板挟みに悩むピーター。そんな彼に新たな恐怖と戦うべくニックが近づいてきて、水晶玉のヒーローと手を組んだのだが、実はこのヒーローはスタークの元部下で、スタークに恨みを抱いていて、ドローンの大群を使って幻影を作って怪物に見せかけ、自らもヒーローになっていた。

 

スタークがピーターに残したARのメガネを手に入れるための作戦だったが、あれだけのものができるなら要らんやろという感じです。まあラストはハッピーエンドながら、よくもまあ懲りずにワンパターンのお話を手を替え品を替え作るものだと思う。

 

ただ、クライマックスの天地無用のアクションシーンやドローンの大群とのバトルシーンは3Dを意識しているとはいえ、なかなか見ごたえがありました。

 

「凪待ち」

それほどの期待もしていなかったが、なかなかいい映画に仕上がっていました。何をやっても裏目に出て、自分という存在が嫌になるほどの嫌悪感を持つ主人公の心の葛藤と、再生までのどうしようもない物語がしつこいほどの浮き沈みの繰り返しで描かれる様がやるせないほどに切ない。香取慎吾がちょっと弱い気がするにが残念ですが、彼の容貌が役にぴったりなので、いい味になった感じです。監督は白石和彌

 

川崎に住む主人公の郁男が。大好きな競輪に出かけるところから映画が始まる。明らかにギャンブル依存であるが、愛する内縁の妻亜弓と、なぜか気の合う娘の美波と平穏に暮らしている。間も無く亜弓の実家の石巻へ引っ越す事になっていた。この日、勤め先をやめる事になり、親しかった同僚の渡辺とも別れを告げた。

 

石巻に着くと、がん末期の父勝美と住む事になる。勝美の世話をする隣人で気のいい小野寺が何かにつけて面倒を見てくれる。ここには亜弓の元夫村上なども住んでいた。

 

郁男は小野寺の世話で印刷会社に就職するが、川崎できっぱりやめると約束したギャンブルだが、同僚に誘われ、いつのまにかノミ屋で競輪をするようになる。

 

ある時、美波が幼馴染と遊びに行くと言って亜弓と口論になり飛び出してしまう。そして夜遅くなっても帰ってこないため、亜弓と郁男が車で探すが、車内で口論になり、郁男は亜弓を車から降ろしてしまう。ところが、直後、あゆみは殺されてしまう。

 

自分のせいであゆみが死んだと思う郁男はギャンブルにのめり込み、借金まで作ってしまう上に、会社でも暴れて損害を与えてしまう。勝美は自分の船を売って借金を埋めてやる一方小野寺も会社の損害を立て替えてやる。美波は勝美が死んだ後は肉親がいなくなるので亜弓の元夫村上のところに引き取られる事になるが、美波は郁男と暮らしたいと思っている。

 

何をしてもうまくいかない郁男はどんどん落ちていくがそれを必死で支える勝美たち。郁男は、一緒に暮らそうという勝美たちの言葉を後に石巻を去る決心をする。そんな時、小野寺が亜弓を殺したとして逮捕される。

 

郁男が荷造りしていると、渡辺から電話が入る。その翌朝、駅のテレビで渡辺がかつて勤めていた会社に暴れ込んで逮捕されたニュースを見る。

 

それを見た郁男はノミ屋に殴り込み、勝美の金を取り戻すため、一発掛けで勝った金を払わなかった腹いせもあり暴れるが、ヤクザに取り押さえられ事務所に拉致される。

 

勝美は若き日の貸しがある組長のところに行き、郁男を助け出す。間も無くして一発掛けして勝った金を子分らが届けにくる。郁男はその金で勝美の船を買い戻し、美波と3人で船に乗る。郁男は亜弓と籍を入れていなかったが、勝美と美波が証人になり婚姻届を作る。

 

船の上で、郁男は婚姻届を海に流し映画が終わる。落ちても落ちても人々に支えられながら、もしかしたら今度こそは立ち直るかもしれない余韻をのこして映画が終わる。登場人物の心の葛藤が繰り返される見事な人間ドラマで、激しい台詞がない分心の叫びが聞こえてくるような映画でした。