くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「小さな恋のメロディ」「命みじかし、恋せよ乙女」「瀬戸内ムーンライト・セレナーデ」

小さな恋のメロディ」(デジタルリマスター版)

今更ながら、ダニエルとメロディの幼い二人のラブストーリー。何度見ても、とっても素敵な映画だなと思います。全編がファンタジーなのですね。監督はワリス・フセイン

 

10歳のダニエルは、母親の溺愛を受け、やや鬱陶しくなっている。年齢的に女性に興味を持つようになる彼は学校でちょっと悪ガキのトムと親しくなる。

 

二人は、お互いにないものを持っていて、どんどん友情が膨らんでいく。ダニエルは一人の少女メロディに気があった。そして彼女に好かれようと必死になり始める。

 

そしてとうとう、二人は恋人同士になり、クラスメートも二人を認める。やがて二人は結婚すると言い出し、両親や先生にも告白。そしてクラスメートが式を決行。先生たちが迫ってくる中、ダニエルたちはトロッコを漕いで彼方に走り去る。

 

とにかくファンタジーなのですね。この映画はおとぎ話。だから素敵なんです。

 

「命みじかし、恋せよ乙女」

何とも言えない仕上がりの作品で、外国作品に唯一出演した樹木希林の映画ということで見に行った。監督はドーリス・デリエ

 

ドイツに住むカールが、パンダの着ぐるみをかぶって娘の誕生日に乱入するところから映画は始まる。彼はアルコール依存症で、娘に近づくことを禁止されたいた。彼は、どうにもアルコールから抜けられず、黒い影のような悪魔を見るようになる。また、死んだ両親などの幻影にも苦しんでいた。

 

そんな時、ユイと名乗る日本人が訪ねてくる。幼い時にカールにあったことがあるというがカールは全く覚えていなかった。ユイはカールと行動を共にし始める。次第にユウに惹かれていくカール。

 

そしてカールはユウの祖母に会うために日本へやってくるが、カールは祖母から衝撃的なことを聞かされる。ユウは母と一緒に入水自殺したというのだ。唖然とするカールは海岸に行くとそこにかつてユウと冗談半分に遊んだピンク電話があり、それを取るとを海にユウが現れ、カールを引き込もうとする。カールは必死で抵抗し、もうしばらく生きたいと言って映画は終わる。

 

要するに依存症からの脱却を、オカルト的な設定で描いた作品というイメージだが、何で日本へ来たカールが女物の浴衣と女の下着をつけているのか不明。タイトルバックも妖怪絵であったり、全体が何ともちぐはぐな映画だった。

 

「瀬戸内ムーンライト・セレナーデ」

篠田正浩監督少年三部作の完結編。久しぶりの再見。やっぱりこれも名作やね。ノスタルジックな映像とファンタジックな絵作りも美しいけれど、ドラマとしてもほんとうに人間味があって、胸が熱くなってしまいました。

 

淡路島から戦死した長男の遺骨を故郷の宮崎に納めるために旅立つ家族の物語。堅物の巡査を父に持ち、ちょっと不良っぽい次男とまだガキの三男、そして幼い末娘、清楚な母。どこか不器用な家族が宮崎への船の中で様々な雑多な人たちと交流する。

 

闇屋の男、活動弁士の男、大道芸の男、などなど様々な人物の背景にある戦争の惨禍が痛々しく描かれる。機雷など、当時の時代背景もさりげなく挿入され、やがて家族は宮崎に近づく。

 

大事に持ってきた遺骨がただの歯ブラシだけだったというラストのオチに至るまでがとにかく心が温かくなるドラマの連続なのが何ともたまりません。

 

冒頭の阪神大震災とエンディングの大震災後の神戸のカットで締めくくりますが、こういうメッセージの描き方こそはほんとうの映画作りだと思います。