くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「記憶にございません!」「僕のワンダフル・ジャーニー」「マイ・ビューティフル・ランドレット」

「記憶にございません!」

三谷幸喜監督久しぶりのスマッシュヒットやね。面白かった。前半、もうちょっとキレが欲しいかなと思ったけど、次第に三谷節のテンポに乗ってきたので、いつの間にか入り込んで行きました。

 

病院のベッドで映画は幕を開ける。寝ているのは現職の黒田総理大臣。石を投げられそのまま担ぎ込まれたのだが、なんと記憶を失っていた。とりあえず、官邸に連れてきた秘書の井坂だが、まずはその場を取り繕うことに全力を注ぐ。

 

時の政権は史上最低の支持率で、全ては黒田総理の無責任な言動によるものだったが、そんな政権を影で牛耳るのが官房長官鶴丸だった。

 

最初は戸惑う黒田だが、次第に記憶をなくしている事から、開き直って総理大臣の役職をこなそうと努力を始める。井坂は総理夫人と不倫関係であり、黒田も野党第二党の山西とそれなりの関係であった。

 

そんな中、意図せずして本来の人間らしい行動に修正していく黒田。そして井坂も秘書ののぞみも協力していくようになり、今の政治を立て直すかつての理想に向かうことにする。そのためには、まずは悪の源の鶴丸を排除する作戦にかかる。

 

そして、無事鶴丸を排除し、黒田のストレートな行動が次第に好感を呼んで、妻の心も戻り、何もかもがハッピーエンドへ。

 

そんな時、のぞみは黒田の子供の頃の作文を見つける。そこには、自分を変えるきっかけとして頭に何かぶつけられるとか、記憶をなくすとかのタイミングが必要だなどと書かれていたのを見て、全ての真相が明らかになる。そしてそれを黒田にいうと、最初は本当に記憶をなくしていたのだがと答えが返ってきて映画は終わる。

 

ちょっと脇を囲む登場人物の存在感が十分に生きていないのは物足りないものの、全般に三谷幸喜らしいユーモアと皮肉があふれていたと思います。軽い出来栄えですが、面白かったです。

 

「僕のワンダフル・ジャーニー」

可もなく不可もなしというほのぼのした感動ドラマでした。監督はゲイル・マンキューソ。

 

イーサンのところに孫のCJができたものの、息子は事故で急死、CJの母グロリアは何かにつけてイーサンらと諍いを起こすようになる。そしてある時、CJを連れて家を出る。

 

一方、生まれ変わって家族を見続けてきた愛犬のベイリーの命も尽きるに及び、イーサンはベイリーにCJの元に行くように頼む。やがて、ベイリーは死んでしまう。

 

CJは母と一緒に暮らしていたが、酒と男びたりの母に寂しい思いをしていた。そしてたまたま一匹の犬を飼うようになり、その後母と喧嘩をして一人飛び出す。ところが彼女を付け回す青年に車で追いかけられ事故を起こし、犬は死んでしまう。

 

大人になったCJは恋人と暮らしていたが一匹の犬と出会い、マックスと名付けて大切にする。もちろんベイリーの生まれ変わりのマックスは、CJの幼馴染のトレントと再会させ、トレントのガンを早期で発見し、やがて二人はイーサンの農場へやってくる。

 

CJはそこでイーサンからベイリーの不思議な話を聞かされ、これまでの軌跡を振り返り、全てを知る。そしてCJとトレントはようやく恋人同士になり、幸せな人生が始まる。

 

やがてマックスも死んでしまい、と物語は続く感で映画は終わる。まあ、ほのぼの感動するのは前作同様。素直に楽しめる秀作でした。

 

「マイ・ビューティフル・ランドレット」

なんともつかみどころのない映画でしたが、この時代にこういう移民の問題とゲイをテーマに描いたのは出色の作品だったのでしょう。さらにいたるところに見られる独特のカメラアングルも見る価値のある作品でした。監督はスティーブン・フリアーズ。

 

ロンドンに住むパキスタン人のオマールは街でイギリス人青年ジョニーと再会する。彼は幼馴染で、仕事を探していたジョニーはオマールの叔父ナセルの経営するコインランドリーの仕事をオマールとすることになる。

 

しかし、ジョニーの友人たちは、パキスタン人に雇われるジョニーの姿が面白くない。ナセルの一族もイギリス人に敵対心を持っていて、何かにつけ諍いになる。

 

しかし、オマールとジョニーはなんとかクリーニング店を開店する。しかし、ジョニーのかつての悪仲間が妨害に現れたりするが、なんとか追い払い、ジョニーとオマールは体を合わせて映画は終わる。

 

さすがにこの時代のゲイの描き方はかなりソフトで、ナセルの愛人の話やナセルの妻が呪いをかけるあたりの描写が、なんとも時代を感じさせるが、映像演出は流石に上手いなと思う。ちょっとつかみどころがなくて前半眠くなってしまった。