くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ホテル・ムンバイ」「浅草の肌」

「ホテル・ムンバイ」

人間というのはなんと愚かな生き物だろうというのを目の当たりにする。自分たちが作った神に振り回されて、容赦無く同じ人間を撃ち殺していく。この物語のテロリストの少年たちはなんの躊躇もなく命令されるままに人に銃弾を浴びせる。その指示してくる男は一体なんなのか?物語はそんなテロリストに身を呈して客を守ったホテル従業員の話だが、テロリストたちの姿がただ印象に残ってしまう作品だった。監督はアンソニー・マラス。

 

ムンバイの地元のアルジュンはこの日も、近くにある一流ホテルタージマハル・ホテルに向かっている。子供ができて金が必要なのだ。このホテルは超一流で、世界中からセレブやVIPが訪れる。この日もそうしたVIPを迎える準備で錯綜している。

 

港に不穏な若者たちがやってきてタクシーに分乗する。そして、まず駅で機関銃を撃ちまくる。逃げる住民はタージマハル・ホテルに逃げ込んでくる。従業員は躊躇なく人々を入れるが、そこにはテロリストの少年も混じっていた。そして始まる銃の乱射。

 

ロビーでそんなことが起こっているのもわからず、アルジュンは、なんとかレストランの仕事にありつく。そこに各国からのVIPが集まってくる。物語は群像劇の形式をとり、デヴィッドたちセレブの家族とロシア人VIPの姿を中心に展開していく。

 

大規模テロが起こったもののムンバイには特殊班がいないため、デリーから呼び寄せるのだが、1200キロも離れている。地元警察では歯が立たず、それでも数人がホテルに突入するもほとんど力にならない。

 

ホテル従業員が、なんとか客を守るために奔走、一方で、命令されるままに殺戮をしていくテロリストたち。ようやくデリーからの特殊班が来たのは12時間も経ってからだった。物語は特殊班の到着でテロが収束して映画は終わる。

 

躊躇なく機関銃を撃つ少年たちの姿があまりに衝撃的で、映画を楽しむというものではないストーリー展開となり、これが事実だと思うとあまりに辛い出来事でいたたまれなかった。映画は実に生真面目に作られているので、余計に辛い、そんな映画だった。

 

「浅草の肌」

まあ、たわいのない人情話で、これというものはないですが、京マチ子のダンスシーンが見せ場といえば見せ場。監督は木村恵吾。

 

浅草の町の描写から映画が始まり、レビュー小屋に関西から一人のダンサークルミがやって来る。なぜか演出の先生にぞっこんなのですが、その経緯は全く描かれず、その男性には恋人がいて、その恋人には素性の良くない男との過去がある。

 

経営不振気味だったレビュー小屋はクルミの登場で盛り返し、クルミは強引に演出の男に迫るも彼は全く振り向かない。そんなおり、刑務所から演出の男の恋人の元カレが出てきて、面倒になるところでクルミが撃ち殺してしまう。

 

警察に捕まる前に最後のダンスをするクルミのシーンでエンディングですが、そのどれを取っても全く脈絡のない行き当たりばったりのストーリー展開は、さすが古き良き映画全盛期という空気感。でもそのノスタルジックさが今見ればとってもいい味なのだから映画は不思議ですね。