「三億円をつかまえろ」
まあ、一昔前の脳天気な犯罪コメディ。菊島隆三の脚本というのもあって、これはこれなりにしっかりできていたと思います。三億円事件時効成立直前という社会風刺も面白い一本でした。監督は前田陽一。
刑務所を出てきたばかりの主人公が、昔の仲間をもう一度誘って、農協にある3億円を盗もうというコメディ。金庫破りの名人には幼い息子がいて、その子を連れて夜中の農協に忍び込むという荒唐無稽さも楽しい。
なんとか金庫も開き、金をそこで分配して、そのまま逃げようとしたところで、子供のおしっこで警報が鳴り、四人のうち三人が捕まるが、金庫破り名人は子供の乳母車を押していたこともあり捕まらず、三人がパトカーで連れて行かれるのを見送ってエンディング。
可もなく不可もない娯楽映画という感じで面白かったです。
「狭山の黒い雨」
大学時代にはいたるところで上映していた狭山事件の映像作品で、悪く言えば一方的なストーリー展開であるものの、強烈なメッセージ性を帯びた社会ドラマであることも事実です。監督は須藤久。
埼玉県狭山市で、女子高生殺人事件が起こる。物語はその犯人として逮捕された石川一雄被告が絞首台に向かう場面から映画は始まるが、映画が作られた段階では、第二審が結審していない。史実では1994年に仮出獄している。
映画は、彼が逮捕されるに至る経緯から、彼が無罪にもかかわらず警察の強引かつ狡猾な取り調べで、犯人にされていく過程が描かれる。
部落解放同盟のバックアップの元、部落出身者石川一雄の冤罪を扱うという流れなので、かなり偏った演出になっていますが、映像作りとしてはしっかりした画面を作っているので、重厚なドラマの一本としての評価はできると思います。
事件の真実は知らない自分としては、素直に映画として鑑賞したという感じです。
「ターミネーターニュー・フェイト」
娯楽映画としては退屈もしないし面白い。でも、結局ターミネーターの第一作目を踏襲するしかない物語、オリジナルの焼き直しでしかないというには残念。斬新で奇抜な続編を期待したけれど、それは流石に満足行くものではなかったです。監督はティム・ミラー。
サラ・コナーは息子ジョンとバカンスを楽しんでいるが、そこにターミネーターTー800が現れ、ジョンは殺される。そしてカットが変わる。
突然、一人に全裸の女性が球体の中から現れる。そして彼女は近づいてきた警官をあっという間に倒しいずこかへ。別の場所にも球体から男が現れる。そして、あっという間にいずこかへ去る。こうして「ターミネーター」第一作と同様に映画は幕を開ける。
仲のいいダニーと弟のディエゴが、職場に行く。そこへ突然、ダニーの父親の姿の何かが現れ、ダニーを襲ってくる。それは、REVー9という未来から来たターミネーターだった。
間一髪、グレースという女が現れ、ダニーを助ける。グレースはダニーを連れて逃げるも、途中で、ディエゴを死なせてしまう。それでも執拗に追ってくる不気味なターミネーターREVー9。
グレースは、強化された人間で、瞬発的な戦闘時間が限られていて、薬を打たないといけなかった。そこへ間一髪、サラが現れ、REVー9を迎撃し、ダニーたちを助ける。
一旦はサラからも離れたダニーたちだが程なくしてサラが追いつく。グレースは、未来でリージョンというAIが人類を支配していて、そこからダニーを亡き者にするためにターミネーターREVー9が送られたのだという。そしてダニーを守るためグレースが送り込まれた。
サラは、審判の日から人類を救ったものの、定期的なメールなどが来るようになり、今回もダニーたちのところにきたのだという。ダニーは未来で人類がリージョンと戦う時のリーダーだったのだ。
ダニーたちは、サラへのメールの送り主のところに行くが、なんとそこには、サラの息子ジョンを殺したターミネーターTー800が家族を作って暮らしていた。そして、人間の心に目覚めた彼はさらにメールを送り、ジョン亡き後にサラを支えてきたのだ。
やがて、REVー9が現れ、サラたちが立ち向かうのがクライマックスになる。そして、死闘の末、ダニーはグレースの体の中の装置でREVー9を倒し、Tー800もREVー9と一緒に破壊されてしまう。そしてサラとダニーは人類の未来を救うため車で旅立つ。
確かに面白いアクションの連続だが、過去作品からの模倣シーンばかりで目新しさもなく、結局、同じ展開の繰り返しでエンディングというのは流石に芸がないなと思う。エンタメ映画として楽しんだからいいとするか。