くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ベル・カント とらわれのアリア」「ブライトバーン 恐怖の拡散者」

ベル・カント とらわれのアリア」

こういうシチュエーションでは現実は「ホテル・ムンバイ」、フィクションが今回の作品なのだと思う。その意味では、全くリアリティのない甘い脚本なのかもしれないが、これを純粋な人間ドラマだと考えれば、なかなか良くできた作品なのだと思います。監督はポール・ワイツ

 

日本の実業家ホソカワが、これから工場建設しようとする、とある南米の国へ旅立つところから映画は始まる。この国はまだまだ政情が不安定で、ホソカワらは軍に護衛されて招待された邸宅に向かう。実は大のオペラファンのホソカワの目的は、アメリカの有名なオペラ歌手ロクサーヌ・コスの歌声を聴くことだけだった。

 

やがて、宴が催され、コスの歌声も披露されるがそこへ、テロリストたちがなだれ込み、来客を人質に立てこもる。長引く交渉の中やがてテロリストたちと人質の間に友情や師弟関係、恋愛などが生まれてくる。

 

ところが、門の外では、救出すべく作戦が進められ、テロリストたちが油断して、庭で和やかにサッカーをしているところへ軍隊が突入、テロリストを全員銃殺して人質を救出する。しかし、その途中、ホソカワは自分の通訳と恋に落ちたテロリストカルメンをかばって撃たれて死んでしまう。ホソカワもコスとの間に恋が生まれていた。

 

物語に展開がなかなか絶妙で、歌を歌うことに興味を持つテロリストのメンバーや、働き者で、人質の中で庭番などをしている男に気に入られたテロリストなど、人間的なドラマが丁寧に描かれているのはうまい。

 

一見、よくある薄っぺらい映画かと思って見ていたら、どんどん引き込まれ、ラストではなぜか胸が熱くなってしまった。ただ、だから政府側の対応が悪かったかというのは間違いだと思うし、門の外の人間としては正しいことをしたのである。

 

表と裏に立場をさりげなく盛り込んだ脚本もうまいし、何気ないエピソードの映画としてのドラマを描いたきめ細やかさも評価できると思います。予想外に良かったというべきでしょう。

 

「ブライトバーン  恐怖の拡散者」

典型的なB級SFホラーというテイストの一本。結局、あいつは何者?というエンディング。なんでもありでいい人はみんな殺される展開は、わかりやすくていい。そんな一本でした。監督はデビッド・ヤロベスキー。

 

仲のいい夫婦、どうやら子供ができないらしく、この日もベッドの上で仲良くしているが、突然大きな音がして真っ暗に。どうやら、子供を授かったのが間の音の正体なのか、赤ん坊のカットが挿入されて物語は10年後へ。

 

子供は大きくなり12歳、ブランドンという名前になっている。父カイルと母トーリに愛される毎日。ところが納屋の奥に何やら謎の鍵のかかったところがある。ブランドンは何やら夜中に声を聞き、その納屋の入り口に立っているのをトーリに見つかる。あの中にはブランドンが乗ってきた物体が隠されていた。

 

ある時、芝刈りを頼まれたブランドンは、機械の不調で癇癪を起こして機械を投げ飛ばした上に、刃に手を入れても歯の方が壊れる。

 

ブランドンは、自分は特別の存在だと自覚、自分が気に入らないことには極端な力を発揮し始める。そして、彼の邪魔になる人物を次々と殺していく。

 

ブランドンは、実は宇宙カプセルに乗って落ちてきた異星人で、カイルは、ブランドンを亡き者にするためにキャンプに連れ出すが逆に殺される。そして家に帰ったブランドンを待っていたのはトーリだったが、彼女もブランドンを殺そうとしてきたので、逆襲、助けに来た保安官も殺してしまう。

トーリが見つけた、ブランドンを倒す唯一の武器らしい宇宙船の金属の使い方もあっさりなのはもったいない。

 

ブライトバーンの街に次々と殺人や破壊事件が起こっているというニュースで映画は終わる。いわゆる、侵略もの映画であるが、いかにも舞台がせせこましくて小さいし、恐怖の見せ方も今ひとつ面白みはない。久しぶりに悲劇的なエンディングというのは目新しいものの、あれだけ宣伝していた割りには普通の映画でした。