「聖なる泉の少女」
絵も美しいし、映像のクオリティも高いのですが、いかんせん淡々としたこれという抑揚のない物語で、正直退屈でした。監督はザザ・ハルバシ。
一人の少女ナーメが、雪原の一角から一匹の魚をザルのような入れ物にすくい、村にある泉に流すところから映画が始まる。物音一つ聞こえないような山深い景色と霧と、かすかに漏れる日差しの映像が実に美しい。
村には不思議な泉が湧いていて、その水で病気が癒えたりしているようで、その泉を守るべく代々受け継がれている家族。息子たちは外に出て、残されたのは娘のナーメのみ。
物語はこの泉の周りで淡々と村の景色が描かれていく。霞かかった画面が本当に美しいし、決まった構図にうっとりするのですが、それ以上何が起こるというものはない。
ナーメには恋人ができたかの描写などもあるも、それがどう展開するというものでもなく、結局、湖に魚を戻す。そして、工事現場のようなカットで映画は終わる。変わっていく国の時の流れを描いているという感じですが、流石に高級すぎて疲れました。
「決算!忠臣蔵」
面白い切り口で退屈はしないのですが、最初から最後までグダグダのおふざけ映画になってしまった。締めるところと緩むところの緩急をしっかりつけると傑作になるのですが、そこが脚本に入っていないのは残念。監督は中島義洋。
物語はこれまでに何度も取り上げられた忠臣蔵討ち入りの物語。その本筋を崩さず、背後にかかったであろう予算の面をコミカルに膨らませた展開で進む。
必ず出てくるエピソードの数々は入れ込んでいるのですが、誰もかれもが緩んでしまって茶番劇で終わった。まあ凡作エンターテインメントという感じの映画でした。