くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「KIN キン」「マリッジ・ストーリー」「スペインは呼んでいる」

「KIN キン」

典型的なB級SFで、その場限りのストーリー展開と噛み合わないキャストの登場、どこかターミネーターを思わせる物語と、切り張りしたような映画でしたが、まあこれも映画です。監督はジョナサン&ジョシュ・ベイカー。

 

廃工場で何やら閃光が走り、大爆発の後カットが変わると一人の黒人少年イーライ。学校で喧嘩をして停学になる。廃工場にあるスクラップを集めては売って小遣い稼ぎをしているが、ある時、不気味な姿の戦士たちと真四角な金属の物体を見つける。その時は逃げ帰ったが、もう一度その現場に行くと倒れていた戦士はいなくて四角い武器のようなものが残っていて、それを持って帰る。

 

イーライの兄ジミーが刑務所から出てきたが、父は彼を受け入れず、ジミーは悪者たちに借りた金を返すために父の工場に押し入り大金を盗もうとする。そこへ駆けつけた父を悪者たちが撃ち殺し、ジミーは金を持ってイーライと脱出。悪者たちから逃れるために街を出る。

 

あるバーに立ち寄ったジミーたちは、そこで店の男たちとトラブルになり、助けに入ったイーライは持っていた四角い武器を使う。なんと一瞬で店が吹き飛ぶほどの威力があった。

 

一方、この武器を取り戻すために捜索にやってきた二人の戦士もジミーたちを追う。ジミーたちは店のダンサーミリーを伴って逃避行。彼らを悪人たちと戦士が追う。

 

ジミーたちがカジノに立ち寄った頃に、父が殺されたニュースが広まり、ジミーは犯人にされて逮捕。そこへジミーを殺すべく追ってきた悪人たちがやってきて、銃撃戦となる。警官たちに囲まれる中に飛び込んできたのが未来から来たという戦士二人。彼らは時間を止め、イーライから武器を取り戻し、イーライに、未来の戦士だからいずれまた会おうと消えていく。

 

悪人たちは全員死亡し、ジミーは警察に逮捕、イーライとミニーがジミーを待っているという大団円で映画は終わる。

 

冒頭の大爆発には警察は出てこないという雑さから始まり、悪人たちがいとも簡単に警察署を乗っ取ってしまうという無法都市の描写は流石にちょっといただけないし、取ってつけたような未来の武器の存在も無理矢理感がありすぎる。でも、これがB級映画の醍醐味なんです。

 

「マリッジ・ストーリー」

これまたNetflix配信映画。全く、上映しないならしないでいいのではと思う。これは映画ではなくて、あくまでネット配信を想定した画面作りと、フィルムを使っているようだが、どこかの工程を飛ばしているのか画面が妙に荒く、映画のように美しく色調が整っていない。しかも、カメラワークも映画的ではないし、全編会話劇だが、会話劇の面白さではない。たしかに、ちょと変わっているのですが、まあ、取り立てるほどの出来栄えだと思えませんでした。監督はノア・バームバック

 

演劇の演出家のチャーリーは、映像のスターだったニコールを劇団に引き込み、結婚し、一人息子ヘンリーを設けて穏やかな結婚生活を送っていたが、お互いの生活の違いから次第に溝ができ、離婚を決意する。

 

最初は望まなかったが、ニコールが弁護士ノラを雇ったことから、チャーリーも弁護士を依頼せざるを得なくなる。

 

チャーリーとニコールの離婚問題で、二人が心を解いて話すべきはずが、いつのまにか弁護士同士が二人を無視して離婚問題を進めていく展開が、アメリカ的とはいえ、胸糞が悪くなる展開になっていきます。

 

所々にチャーリーとニコールがお互いの心を開いて話し合う場面があり、唯一そこが非常に胸に迫ってくるのがこの作品のいいところなのだが、いかんせん、全体の構成が映画的でなく、画面が小さくこじんまりしているのが最後まで気になって仕方なかった。

Netflix主導作品は結構だが、映画として作るならそれに特化して作るべきだと思います。

 

「スペインは呼んでいる」

ロードムービー形式でほとんどのお話が流れるのと、ひたすら映画のモノマネの会話劇の応酬なので、言語が理解できればもっと面白いのだろうが、字幕のみだと流石に辛い。ラストは苦笑いするブラックコメディ的で、そこは面白かった。監督はマイケル・ウインターボトム。

 

ティーブとボブがグルメ取材でスペインを巡っていく。大スターや名作映画のモノマネを交えながらの会話劇の展開の中でお互いの仕事や生活のさりげない出来事が挿入される。

 

取材も終えた終盤、ロブとスティーブはそれぞれの道へ進むが、恋人の妊娠を知ったスティーブは、自分の子供ではないと知りつつ、父親として暮らすことを告げる。そして恋人の元へ向かうのだが途中で車はガス欠に。どうしようもなく困っているところへ一台の車が見える。やってきたのはいかにも過激派のようなイスラム教の戦闘員のようで、ストップモーションで苦笑いするスティーブのカットでエンディング。

 

とにかく、ほとんどが会話劇だが、様々な料理やその作る様子が挿入され、その展開はちょっとしんどかった。