くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「シティーハンターTHEMOVIE 史上最香のミッション」「アダムズ・アップル」

シティーハンターTHEMOVIE 史上最香のミッション」

あまりに、面白いという評判が多いので見にきました。映画は安っぽいのですが、コメディのセンスがいいのとコミック原作のノリがテンポよくて、どんどんはまってしまいました。ちょうどチャウ・シンチーの香港映画を見ている感じがとっても楽しい映画でした。監督はフィリップ・ラショー。

 

病院の手術室で何やら全裸の男性がこれからの手術を待っている。そこに飛び込んでくる主人公リョウとファルコン。いきなりの下ネタ満載のオープニングはまさにシティハンターワールド。そして、物語は数時間前に戻る。

 

この日、相棒のカオリと仕事を請け負う依頼人を待っている。そばにレオタード姿の女性たちのいかにもらしいシチュエーション。どんどんシティーハンターワールドである。リョウを演じるのがフランス人なのだが、下手に日本人のイケメンが演じるよりはまっていて自然なのがいい。

 

やってきた依頼人ドミニクは、香りを嗅いだ者を虜にする「キューピッドの香水」を見せられるが、そのお試しに噴射した途端奪われる。48時間以内に解毒剤の香水を浴びなけらばならなくなり、リョウたちはその香水を追うのが物語の中心になる。

 

ばかばかしいほどのノリと下ネタ爆笑の連続のコメディシーンにあれよあれよと画面に引き込まれてしまい、最後は当然ハッピーエンドの大団円。

 

ヒルが付いて来たり、首が取れた死体があったり、空を飛んでアヒルが追っかけて来たり、グロもほどほどにエロがいっぱいでしかもノリまくりの展開に終始ニコニコである。映画はばかばかしいのにもう一回見たくなる魅力満載の映画でした。

 

「アダムズ・アップル」

不思議な空気感で描かれるちょっとシュールな作品で、北欧の殺伐とした風景と手放しで拍手するほどでもない感動が、何ともいい感じの映画でした。聖書のエピソードを基にしてるので、やや宗教観が漂わなくもないので、その隠し味に魅了されます。監督はアナス・トーマス・イェンセン。

 

一人の男アダムがバスを降りてくる。降りた途端、手にしたナイフで走り去るバスのボディに傷をつける。彼は仮釈放され、これから更生施設を兼ねた教会へやって来た。迎えに来たのがいかにも気のいいイヴァン。車で教会に向かい、軽快な音楽をかけながらたわいのない会話を無理やりするイヴァンにアダムは明らかに反抗的。

 

教会の庭にはリンゴの木が一本ある。出迎えたカリドとグナーにも敵対心むき出しにするアダム。彼はネオナチで、部屋にヒトラーの写真を飾る。イヴァンは彼にここでの目標を聞かれ、リンゴのパイを作ると適当な返事をする。

 

アダムは着いて早々から、この教会の人間がどこかおかしいことに気がつく。と言っても具体的に何かが見えるわけでもない。与えられた聖書は何度床に投げつけてもヨブ記の章が開いたり、奇妙なことが起こってもイヴァンは全て悪魔の仕業で自分は神に守られていると答える。

 

イヴァンの子供が車椅子に乗せられやってくるが、脳性麻痺で動けない。それでもイヴァンは動けるという。さらにサラという女性もやってくる。イヴァンは、アダムから執拗に責められると耳から血を流す。そして庭のリンゴに突然大量の害虫が発生してしまう。近くの病院での医師の言葉では、イヴァンは脳腫瘍で間も無く死ぬのだという。アダムは、トラブルは悪魔の仕業ではなく神がイヴァンを憎んでいるからだと責め、イヴァンは卒倒してしまう。その直後、嵐が襲い、庭のリンゴの木が落雷で燃えてしまう。

 

病院へ担ぎ込まれたイヴァンは余命数週間と言われ、神の存在を信じなくなる。カリドとグナーはイヴァンという拠り所をなくし、次第におかしくなり、グナーはサラと関係を持ってしまうし、カリドは、アダムの仲間がやって来た時、躊躇なく拳銃を撃つ。

 

アダムたちは近くのドラッグストアへ強盗に入り、品物を盗むついでに、落雷で壊れたオーブンの代わりのオーブンを盗む。戻ってみると、焼けたリンゴの木からもぎ取った数個のリンゴをサラが食べ尽くしていた。アダムはパイを作るつもりだったががっかりするが、グナーが一個だけ持っていた。

 

そこへ、アダムの仲間が人を増やして再度やってくる。ところがイヴァンともみ合いになり、イヴァンは頭を吹き飛ばされる。アダムは、瀕死のイヴァンにパイを届けるべく一個のリンゴで焼き届けると、なんとイヴァンの脳腫瘍はピストルで吹き飛ばされ、生き返ったのだと医師に言われる。

 

アダムはイヴァンとパイを食べる。カリドはいずこかへ帰り、グナーはサラとの間に子供ができ、家庭を作って去っていく。時が経ち、教会に新しいふたりの男がやってくる。迎えに行ったのはイヴァンとアダム。車で教会に向かうシーンで映画は終わる。

 

一見、ストレートな話だが、どこか神秘的な空気が漂い、映像もどこかシュールな描写もある。不思議なムードに包まれた作品で、なかなか魅力ある映画でした。