くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ダウントン・アビー」「人も歩けば」

ダウントン・アビー

人間関係や、名前などの説明が入るけれど、覚えきれなかった。にもかかわらず、ものすごく面白かった。演出が抜群に優れているのでしょう。いろんなエピソードがオーバーラップして展開する様をはっきりと追いかけることができる。それほど深い中身はないのにこの面白さはなんだという出来栄えでした。監督はマイケル・エングラー。

 

クローリー家が住まいするダウントン・アビーに国王夫妻が見えられるという知らせが入るところから映画は始まる。この家の相続問題や、王妃メアリー夫婦の問題、さらに王室からやってくる横柄な執事たちとダウントン・アビーの使用人たちとの丁々発止の諍いなど、これでもかというエピソードが群像劇として展開する。

 

流麗なカメラが次々とそのエピソードのど真ん中に入っては抜けていくという演出で、顔と名前は一致しなくても話の流れははっきりと見えてくるから不思議。

 

ラストは、無事、国王夫妻を出迎えて送り出し、次の舞踏会のシーンでこれまでの展開をまとめていくということになる。一本の作品として仕上がっているし、見ていて退屈しないし、上質のドラマを堪能したという感じでした。良かったです。

 

「人も歩けば」

テンポの良い軽快なコメディという言葉がピッタシのドタバタ劇、川島雄三監督らしいやりたい放題の演出が、不思議な個性になっている一本でした。

 

とある質屋、主人は大の将棋好きで、そこにたまたまやってきたバンドマンの砂川桂馬も将棋好き。そして気が合って、頻繁に将棋の相手をするようになり、質屋の娘と桂馬は結婚することになる。しかし、間も無くして主人の義平は死んでしまい、婿養子の肩身の狭さと商才の無さで、家族からは疎まれ、居場所がなくなり、とうとう飛び出すことに。

 

ところが、桂馬に九千万円の遺産が入ることになり、義平の妻キンや女房らが桂馬を必死になって探し始めるのが物語の本編。訳のわからない探偵やら、八卦に凝った風呂屋の主人やら色っぽい飲み屋の女主人、さらには質屋の優しい次女の恋物語が絡んでのすったもんだのドタバタ劇が展開。

 

そしてなんとか遺産を手に入ったかというハッピーエンドで、将棋盤の上で目を覚ますと桂馬。全ては夢幻というオチで映画は終わる。全く、やりたい放題を笑い飛ばす。傑作と凡作は紙一重と言わんばかりの一品でした。